ジャルジャルがラブシーンに挑戦。胸は下から揉むのが理想!?
魂のこもった青春映画を撮り続けている井筒和幸監督。3年ぶりとなる最新作『ヒーローショー』(5月29日公開)では、“今”を生きる若者の、焦りややるせなさを見事に描き出す。『ガキ帝国』(81)の島田紳助・松本竜介、『岸和田少年愚連隊』(96)のナインティナインに続いて、主演に抜擢されたのは、若手お笑いコンビ、ジャルジャルの後藤淳平と福徳秀介だ。
井筒映画のオファーを受けた感想を尋ねると、「“ドッキリ”やと思いましたよ!」と口をそろえる二人。しかし、監督から撮りたい若者像を明かされると、強く心を打たれたという。
福徳が「監督は、『今までの僕の作品は全部忘れて、一からやりたい』と言うてました。同じ若者を撮るのでも、今まで撮ったことのないものをと。コイツね、『監督がすごいこと言った、俺、ついて行きたい』って涙流したんです。おもろかったなぁ(笑)」と相方をからかうと、後藤は「それ言うのやめろや!」と大照れ。続けて「理由のない犯罪に巻き込まれる若者が描かれている。その切ない若者のことを考えたら、感情がむちゃくちゃになって、泣いてしまいました」と答えてくれた。
監督の演出法に話が及ぶと、後藤は「納得行くまで何回も同じシーンを撮る。『何回やっても一回目の気持ちで新鮮にね』というのを口酸っぱく言われました」と。監督はリアルを追求することでも有名だが、後藤のラブシーンでも徹底的なリアルが求められたようで、「ピンク映画も撮っていた方なので、そういう視点からも言うてましたし、『パンツ脱いで、スカートめくり上げて、太もも上げて、こういう体勢で』みたいなところまで、細かく指導してくれましたと後藤。
相方のラブシーンを見た福徳は「僕ら高校から一緒なんですけど、高校の時は年頃ですから、『乳は下から揉んだ方がいいらしいで』とか『キスは口を食べるように』みたいな話もよくしてた。で、いざ見たら、コイツ、やっぱり乳は下から揉んでたんで(笑)」
監督の熱血演技指導に感激しきりのふたり。福徳は理想とする役者に井筒監督を挙げるほど。「演技指導のときには、監督が毎回見本を見せてくれるんですけど、それがめちゃめちゃうまいんですよ!」と言う。一方の後藤は、何でもこなせる役者代表としてチャーリー・シーンを目指すとのこと!
青春映画とはいえ、リアルを徹底した暴力シーン、ラブシーンによりR-15指定作品となった本作。「井筒監督で、芸人が出ているというので、コミカルな映画だろうと思って観に行くかもしれないけど、今回はそういう映画ではない。僕らが芸人だということは忘れて、真剣に映画を見て欲しい」と福徳。後藤も「撮影はしんどかったけど、完成した映画を観たら、納得のしんどさ」と、作品の出来に自信をのぞかせる。
インタビュー中も、終始じゃれ合ったり、「学生時代はホモ説も流れた」と語るほど仲の良い二人。他にもどこまで嘘か本当か分からないエピソードもたっぷり語ってくれたが、それこそ彼らの持ち味といったところ。しかし、今回の二人の演技は本物。15歳以上の人は、ぜひ劇場で確かめて!【取材・文/成田おり枝】