安田顕が「バツイチの役をやっていきたい」と驚き発言?榮倉奈々と安田顕が語る、夫婦間の頑張りとは
「Yahoo!知恵袋」の投稿から始まったコミックエッセイの映画化『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(6月8日公開)で、夫婦役を演じた榮倉奈々と安田顕にインタビュー。2人はこのユニークな夫婦愛をどう受け止め、どんなふうに紡ぎ上げたのか?
結婚3年目のサラリーマン・加賀美じゅん(安田顕)が帰宅すると、玄関で妻のちえ(榮倉奈々)が死んだふりをしていた。それ以降、ちえはいろんなコスプレで死んだふりをするという奇行を繰り返していく。
『神様はバリにいる』(14)の李闘士男監督がメガホンをとった本作。ちえは、ある時はワニに喰われていたり、ある時は頭に矢が突き刺さっていたり、ある時は胸に十字架を刺されたドラキュラになったりと、毎回、趣向を凝らして小道具まで作り込み、様々なバリエーションの“死んだふり”を披露していく。
最初にこの突拍子もない設定を聞いた時は驚いたという榮倉だが、脚本を読むと違う側面が見えてきたと言う。「知恵袋に投稿された質問内容から、李監督と脚本家の坪田文さんが内容を膨らませて、夫婦愛など普遍的なものがたくさん詰まった脚本にされました。すべてが言葉で表現されているわけではなく、行間などからもたくさん感じ取れるものがありました」。
一つ間違えば“少し変わった人”になりかねないちえだが、榮倉のナチュラルでフラットな表情と、じゅんへのぶれない愛情が、観る者を魅了していく。「李監督から熱いものを感じました。現場では、違ったら違うと言ってくれますし、いろんな提案も受け入れてくださり、一緒に作っていった感じです」。
じゅん役の安田は「原作を読ませていただいた時はすごくおもしろいと思ったけど、脚本で字面だけを追った時は、実はおもしろみが理解できなかったんです。でも、完成した映画を観て、自分は読解力がなかったんだと恥じています」と恐縮する。
本作でのじゅんはバツイチで再婚という設定だ。「最近バツイチの役が多いんです。でも、ウェディングドレスを着ると婚期が遅れると言いますから、バツイチをずっとやっていると、離婚しなくていいんじゃないかと。だから、どんどんバツイチの役をやっていきたいと思います(笑)」。
ちえの台詞で「夫婦は毎日一緒にいるから、そんなに頑張らなくていいんです」という言葉が味わい深い。安田はその台詞について「ああ、頑張らなくていいんだなと思いました(笑)」と茶化す。「頑張り方もいろいろありますから。次へ進めるように頑張れればいいけど、俺はハムスターのようにずっとカラカラやっているタイプ。空回りしちゃって大変(笑)」。
榮倉は「頑張らなくていいは、なにもしなくていいということではないのかなと思います。身近な人に対してだからこそ、頑張らなくてはならない部分もあるのかな、と…」と捉えた。
安田は「僕は事務所の社長から『いまが頑張り時だよ』とずっと言われ続けています。気がついたら40歳を過ぎたのに、これからも言われ続けるんだと思うとぞっとします」と苦笑い。
最後に本作の見どころについて聞くと、榮倉は「いろんな形の人生が詰まっている映画になっていると思います。観る人によって、いろんな人に感情移入できると思うので、優しい気持ちで観てほしいです」とアピール。
安田は「大きな見どころの1つとして、榮倉さんの15変化があるってことは間違いございません。また、その先にある人生や夫婦もいろんな形があっていいんじゃないかと。そんなことをミストシャワーのようにじわっと感じられる作品になったんじゃないでしょうか?」とユーモラスに締めくくった。
取材・文/山崎 伸子