岩田剛典、緊急来日のオスカー女優に「フランスのお母さんだと思ってます」
『あん』(15)や『光』(17)で知られる河瀬直美監督が、両作でタッグを組んだ永瀬正敏と、アカデミー賞女優ジュリエット・ビノシュを主演に迎え、自身の生まれ故郷・奈良を舞台にした長編劇映画第10作『Vision』(公開中)。その公開記念舞台挨拶が9日、新宿ピカデリーで開催されジュリエットと永瀬を筆頭に、夏木マリ、岩田剛典、美波、そして河瀬監督が登壇した。
本作は、人類のあらゆる精神的な苦痛を取り去ることができる薬草“ビジョン”を探しに奈良・吉野にある山深い神秘的な森を訪れたフランス人エッセイストのジャンヌが、森に住む山守の智と出会い、言葉や文化の壁を超えて心を通わせていく物語。
公開に合わせて緊急来日を果たしたジュリエットに合わせ、登壇者全員が「ボンジュール」とフランス語で挨拶して会場の空気をあたためると、ジュリエットは「素晴らしい体験をさせてもらいました。吉野の森に招待されるかのように入り、そこで河瀬監督や素晴らしい俳優たちと、本当に大切なものをシェアすることができました」と撮影を振り返った。
一方で、ジュリエットとともにダブル主演を務めた永瀬は作品を観て「心が震えた」と明かし、舞台挨拶のためにジュリエットがフランスから駆けつけたことに「もっと震えの幅がでかくなっています」と述懐。そんな永瀬は撮影の合間にジュリエットと森をデートしたそうで「2人でお昼ご飯を食べたり、森を歩いたりしました」と穏やかな表情。
「ジュリエットが森や木を見ながら美しいと言っていたのが、劇中のジャンヌとリンクしているように見えました」と永瀬が明かすと、ジュリエットは「街の中で暮らしていると、自然と離れた暮らしをしがち。そういう時に、自然の中に身を置くことで、自分と繋がるような気持ちになって、心が穏やかになりました。人間は自分の起源に帰り立ちたいという欲求を持っているのではないかと思います」と、まさに劇中のジャンヌよろしく吉野の森に魅了された様子で語った。
そんな中、劇中で英語のセリフに挑戦した岩田は「台本を読んだ時に英語のセリフがあって、どうしようかと思いました」と本音をもらす。そして「撮影に入るとビノシュさんの包み込む母性に助けてもらいました」と隣にいたジュリエットを見やる。するとジュリエットは「最初に会った時から、また会えたなという不思議な感覚になりました。日本に息子がいるような気持ちです」と明かし、岩田も「僕もフランスのお母さんだと思っております」と呼応。会場を大きく沸かせた。
取材・文/久保田 和馬