アイアンマンのパワードスーツは実現可能!ゆくゆくはヱヴァの開発も?
『アバター』『アリス・イン・ワンダーランド』を上回る1億2812万ドルという本年度、米国最高のオープニング新記録を樹立した『アイアンマン2』がいよいよ6月11日(金)に公開初日を迎える。
アイアンマンの面白さは、破天荒な主人公、超弩級アクション、個性豊かな悪役など色々あるが、忘れてはならないのが“パワードスーツ”である。実はこのパワードスーツ、フィクションあるいはファンタジーだけの世界ではないのだ。千葉工業大学・未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏は「業務命令です。必ず『アイアンマン』を見てきてください」と『アイアンマン』を鑑賞した次の日に研究員全員に命じたほど。なぜなら、劇中に登場する技術の多くは、現代のロボット工学で基礎部分が既に完成しているものばかりで、「この映画はSFではない。サイエンス・リアルだ。『アイアンマン』シリーズを見れば、日本の近未来のテクノロジーが垣間見られる」とも語っている。
まずは、スーツ装着時に現れるディスプレイ。これはAR(拡張現実)を利用したシステムで、「ドラゴンボール」に登場するスカウター(相手の戦闘力を見ることができる片眼鏡形の表示装置)も拡張現実の一種だ。また、つくば市にあるサイバーダイン株式会社が開発・研究を手がける、世界初のサイボーグ型ロボットスーツHALもその技術に注目が集まっている。体内に流れる電気信号を読み取り、装着するだけで身体機能を拡張・増幅・補助することができるもの。造形はアイアンマンと似ており、手足のない人でもその技術で普通の生活を取り戻せることができるのだ。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』(07、09)のヱヴァ初号機もパイロットの碇シンジの人体との神経接続によってシンクロさせ、使徒を撃破しており、ゆくゆくはヱヴァの開発も夢ではないかもしれない。
『アイアンマン』シリーズのジョン・ファヴロー監督も製作に当たって、「もちろん実際にある技術も参考にしたよ。筋力増強スーツの研究は現実に行われているんだ。科学雑誌にも出ていたよ。アイアンマンのスーツの原形ともいえるものだった。兵士用の防護服も開発されているし、技術は確かに進歩している。楽しんでもらえるように派手にはするが現実味も必要だからね」ともコメントしている。
古田氏いわく、シリーズ1に登場する“アイアンモンガー”は高さ3m、重さ380kgで、武器一式とロケットブースト機能以外なら、これに近いパワードスーツを現代のテクノロジーで実現できるとのこと。試作の金額はおおよそ5億円らしい。ただし、パイロットの安全性はまったくの保証外! そして、アイアンマンはどうかというと、機能的にはアイアンモンガーと大差ないため、デザインを気にしなければ5億円程度で試作可能。しかしながら、トップモデル顔負けのあの超スリムボディに、心臓部、小型の原子炉アーク・リアクター、各種機能、センサー等を新規に開発することを考えると、製作予算は最低50億円必要だそうだ。ジェット戦闘機の価格が数100億から数1000千億円であることを考えると、大変リーズナブル? そんなに非現実的な話ではないのかも?と思ったりもする。アイアンマンのパワードスーツの開発は近い将来、実現する可能性があると言えるのではないだろうか。【MovieWalker】