極悪人が歌舞伎町に勢ぞろい!『アウトレイジ』初日舞台挨拶
北野武の監督15作目となる『アウトレイジ』が公開初日を迎え、北野監督をはじめ、椎名桔平、加瀬亮、國村隼、三浦友和、石橋蓮司、小日向文世、杉本哲太、中野英雄、塚本高史というそうそうたる俳優陣が初日舞台挨拶を行った。場所は歌舞伎町の真ん中にある新宿ミラノ座。全員がビシッとスーツで決めた光景は映画さながらの迫力だった。
満員の観客から大きな拍手で迎えられた北野監督は、開口一番「どうも、山田洋次です」とご機嫌! 映画のPRで連日多くのメディアに自ら登場した監督は、「この映画のために、TVだけでも60本出た。ドンキホーテにも映画のポスターを貼った(笑)。初日からこんなにお客さんに入ってもらって感謝しています」と笑顔でコメントした。
金と権力のために男たちが激しい抗争劇を展開する本作。その笑ってしまうほどのバイオレンス描写が話題だが、演じた出演者たちは北野組初参戦の顔ぶれ。三浦友和や國村隼は、口をそろえて「監督からの指示は特にありませんでした」と話し、緊迫した空気の中で演技に臨んだとか。
北野監督は「みんなキャリアのある役者さんばっかりだったから、何も言わなくてもやってくれて楽でよかった。楽屋にマリファナを炊いたから、みんな勝手にやって勝手に帰っていった」とジョークを交えて、役者たちの名演を絶賛した。
そんな中、劇中でベッドシーンを演じた椎名桔平は、「監督から“フツーにやって”と言われたので、フツーにやりました」と自らの私生活を告白したかのようなコメント! 笑いで包まれる会場に、本人も照れながらの笑みを浮かべた。
また、草食系男子というイメージから一転、本作でインテリ風のヤクザを演じた加瀬亮は「北野監督の作品は、どれも行間を感じさせる作品ですが、この映画には行間なんてまったくない。監督にとっても新しい挑戦だったでしょうし、自分も参加できて嬉しいです。女性の方も、男たちバカだなーと思って楽しんでほしい」と、作品の見どころを熱く語った。
最後に北野監督は「暴力映画だけど、映画で描いた構図は一般社会でも当てはまる。自分はどの位置かなーなんて思って観ても面白いと思う。この映画を観たら、ガンが治ったとか、階段が昇れるようになったとか、家出した息子が帰ってくる。きっといいことたくさんがある」という冗談で締めくくり、舞台挨拶を終えた。
普段はヤクザを演じない好感度の高い役者たちが、尊敬する北野監督のもとで豪快なまでのバイオレンスを繰り広げる『アウトレイジ』。その圧倒的な迫力をスクリーンで是非体感してほしい。【取材・文/鈴木菜保美】