アートやミュージックなど、様々なカルチャーの発信地、渋谷。多くのライブハウスやナイトクラブがひしめくこの街で、映画館を使った初のDJパーティ「シネマティック・ダンス」が渋谷HUMAXで開催。その仕掛け人となった、クリエイティブチーム「PARTIS」のエグゼクティブマネジャー石井健斗氏と、株式会社ヒューマックスシネマの塩﨑さくら氏のコメントと共に、映画としても音楽としても新たなチャレンジとなった、このイベントの模様を紹介したい。
きっかけは「スター・ウォーズ」?映画館がクラブになった理由とは?
渋谷を拠点にDJイベントを企画しているPARTIS。音楽はもちろん、メンバーの多くが映画好きで、シネマティック・ダンス開催の経緯についても「『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を観ていた時に、オープニングの音を聞いて、やっぱり映画館って音響がいいなと再確認したんです。以前から映画を絡めたイベントはやりたいと思っていたので、映画館でDJパーティができないかと考え始めたのがきっかけですね」と石井氏は振り返る。また、渋谷HUMAXに声をかけた理由については「渋谷のランドマークでもありますし、ゲスト同士の交流は大事にしたかったので、100~200人規模の劇場という点でも自分たちにとって心地よいと感じてお願いしました」とあくまでクラブイベントとしての温度感を大切にしていたようだ。
一方、企画を受けた塩﨑氏も「私自身、映画館で音楽イベントをやりたいと思っていたので、PARTISさんの企画を聞いた時はとても面白いと思いました。また、渋谷という街柄もあり、劇場としてもクリエイターを応援したい、協力できる場所でありたいと考えています」と説明するなど、“映画館をクラブにする”というPARTISのアイディアに共感したそう。
イベントを通して、一本の映画を鑑賞した気分に
映画館を利用する上で音響環境はかなり魅力的だったようで、「劇場全体にスピーカーがあるので、どこに座っても同じように音楽が感じられます。なにより、映画館に流れる独特な空気感、座った瞬間の期待感はクラブにはないものだと思っています」と熱く語る石井氏。さらに、スクリーンで流す映像にも工夫を凝らしており、「普段のイベントではCGで作った無機質な映像を流すことが多いのですが、今回は映画館らしく、宇宙や都会の街並みの映像を自分たちで作成し、約5時間のイベントを通して一本の映画を観たような気分になれる構成を意識しました」と演出面についても明かしてくれた。
また、イベントのラストには出演DJや協賛企業、スタッフを紹介するエンドロールが流れるのだが、前売り券を購入することで、そこにゲストの名前がクレジットされるという特典も。まさに、映画の登場人物の一人になったような気分が味わえるのだ。