特別な日なのにギスギスムード?『セラヴィ!』に見るフランス結婚式“あるある”

コラム インタビュー

特別な日なのにギスギスムード?『セラヴィ!』に見るフランス結婚式“あるある”

6月といえば、ジューンブライド。日本では梅雨に入り天候が心配な季節だが、言葉の起源であるヨーロッパでは「6月の花嫁は幸せになれる」と言われている。そんなヨーロッパ流ウェディングの様子を感じられるのが、7月6日(金)に公開される映画『セラヴィ!』だ。先日の「フランス映画祭」で来日した監督コンビの言葉と共に本作の魅力を紹介したい!

“スタッフ目線”でユーモラスに描かれた結婚式

結婚式の裏側を描くコメディ『セラヴィ!』
結婚式の裏側を描くコメディ『セラヴィ!』[c] 2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE
思わずうっとりするような優美なシーンも
思わずうっとりするような優美なシーンも[c] 2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE

日本でもヒットを記録したフランス映画『最強のふたり』(11)のエリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュの監督コンビがメガホンを取り、結婚式を“スタッフ”の視点から描いたコメディ。個性の強いスタッフ、アクの強い新郎などが集まることで生まれる軋轢やハプニングなど、主人公であるウェディングプランナーのマックス(ジャン=ピエール・バクリ)が様々な障害に見舞われる様子をユーモラスに活写する。

スタッフの視点から描いた理由やこだわりについて、監督コンビは「仕事を一緒にするチームが、色々な対立を乗り越えていく様を描きたいと思った」と説明。また「裏側で日常的に結婚式を体験しているスタッフに対し、結婚する人や招待客は一生に一回のもの。そのズレが、コメディに合っていると思った」とコメントしており、完璧な式にしようと必死な新郎側に対し、どこか他人事のように振る舞うスタッフたちの対比が笑いを誘う。

ちなみに作品を作る上で、同じく式の裏側を描いたロバート・アルトマン監督の『ウエディング』(78)や、パーティ会場でのハプニングの連続を描いたブレイク・エドワーズ監督の『パーティ』(68)を参考にしたという。

監督のアルバイト経験も投影!フランス結婚式“あるある”が満載

スタッフという裏方の視点で結婚式を描いていく
スタッフという裏方の視点で結婚式を描いていく[c] 2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE

また監督たちは、若いころに結婚式でウェイターやカメラアシスタントなどのアルバイトをしていたそうで、自身たちが感じていた雰囲気なども、映画に活かされているという。加えて1年から1年半に及ぶ綿密な下調べを行っており、大げさでありえないような出来事の中に、リアルなフランスの式事情を知ることができるのも本作のおもしろさの一つ。

【写真を見る】フランスの結婚式ではこんなトンデモ演出も!?
【写真を見る】フランスの結婚式ではこんなトンデモ演出も!?[c] 2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE

例えば、フランス流の式は、日本のように式場での披露宴がメインではなく、基本は完全オーダーメイド。そのため、マックスのようなプランナーが多く存在するが、個人主義のお国柄ゆえ、新郎新婦を立てずに、自分の意見を言いまくる人も多いのだとか。また式の場所も人それぞれのため、本作のように古城で式を挙げることも決して少ないことではないのだ。

式が上手くいくか不安でイライラモードの新郎と、プランナーのマックス
式が上手くいくか不安でイライラモードの新郎と、プランナーのマックス[c] 2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE

綿密なプランを練って作り上げていくのがフランス流。劇中、式が上手くいくか不安で、プランナーのマックスや新郎が常にイライラしているが、監督曰く「こういった振る舞いは、フランスではおなじみの光景」なんだそう。

フランス流の結婚式の雰囲気を味わうことができる『セラヴィ!』。6月は式に参加したという人も多いかもしれないが、本作を鑑賞し、日本とは一味違う結婚式文化を追体験してみてはいかがだろうか?

文/トライワークス

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