「ハウス・オブ・カード」に新展開、ロビン「ケヴィン・スペイシーの事は知らない」?
2013年からNetflixで配信されているドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」でクレア・アンダーウッド役を演じる女優ロビン・ライトが、米国時間7月9日に放送されたアメリカの情報番組「Today」のインタビューで、セクハラ疑惑をかけられた元共演者、ケヴィン・スペイシーについて初めて語った。
ロビンは「(セクハラ疑惑のニュースを聞き)皆驚き、悲しんだわ。でも、逆境のなか前進して、予定通りシリーズを完結できた事に感謝しているの」とコメント。
インタビュアーに「長年共に仕事をするうちに、ケヴィンにこのような事件を起こしうる異変を感じた事はなかったか」と聞かれると、ロビンは「ケヴィンと私はただの同僚だった。仕事外で交流する事はなかったし、尊敬しあうプロフェッショナルな仲だったの」「撮影中と、カットの合間に雑談して笑うくらいの関係で、彼自身のことはよく知らなかった。私が知る彼は、素晴らしい俳優よ」と答えた。
ケヴィンのセクハラ疑惑は「スター・トレック:ディスカバリー」にポール・スタメッツ役で出演中の俳優アンソニー・ラップ(46)が去年、自分が14歳の時に当時26歳だったケヴィンに「性的関係を迫られた」と告白したことが始まりだ。
ケヴィンはこのことに対し「30年以上前の出来事で正直覚えていない。しかし彼が証言するように当時の自分が振る舞ったのなら、心からお詫びしなければならない。酔ったうえでの不適切な振る舞いだった」と謝罪。続けて同じ声明文でいままで秘密にしていた自身のセクシュアリティに関して「今後はゲイの男性としての人生を選ぶ」とカミングアウトした。
しかし、未成年への性的虐待疑惑をお酒になすり付けるような謝罪文や、この騒動を利用してカミングアウトしたことが、LGBTコミュニティーなどを中心に激しいバッシングの対象になってしまったのだ。よってケヴィンのセクハラ疑惑は、「#MeToo」運動の渦の中で、ハーヴェイ・ワインスタインに並んで例に挙げられるようになってしまった。
その後ケヴィンにセクハラを受けたと告白した被害者は、アンソニーを含めて18年7月の時点で合計15名まで増えた。ロビンも「(ケヴィンから)全く連絡は来ないし、どうやってコンタクトをとればいいのかも分からない」と言っているとおり、現在ケヴィンはアリゾナ州の療養施設でリハビリ中。施設外とのコンタクトを遮断しているそうだ。
Netflixは、このスキャンダルによって人気番組である「ハウス・オブ・カード 野望の階段」の継続の危機にさらされ、主人公フランク・アンダーウッドを演じてきたケヴィンを同作の主役から降板させた。
「ハウス・オブ・カード 野望の階段」は、今年配信される第6シーズンをもって完結するが、このシーズンにはケヴィンは登場せず、ロビン演じるクレアが主役にして計8話で構成されている。Netflixが下したこの決断に関して、ロビンは「(事件が発覚した)当時はアメリカ全土が衝撃を受けていたし、被害者に敬意を示す意味で、スペイシーと一線を引く事に皆同意した」とコメントした。
本作を第6シーズンで完結させることは、ケヴィンのスキャンダルが明るみになる前から決定していた、と言うのが公に発表されている情報だ。しかし一部の報道では、スキャンダルで番組途中での打ち切りを考慮していたNetflixを、ロビンが説得し、クレアが大統領になってからの物語を最後まで締めくくる決断をさせたと言われている。ロビンは第6シーズンの主役を演じるだけでなく、最終話の監督も務めるのだそうだ。フランクがどのような形でシリーズから姿を消すのかは、まだ明らかになっていない。
スキャンダルで更なる注目を集める本作が、強い女性を主人公に復活し、フィナーレを迎える展開はストリーミング開始前から大きな期待を集めている。「ハウス・オブ・カード 野望の階段」シーズン6は、米国で2018年秋にストリーミング開始予定だ。
LA在住/小池かおる