“カンヌの是枝裕和”最新作はカトリーヌ・ドヌーヴら出演の日仏合作映画

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“カンヌの是枝裕和”最新作はカトリーヌ・ドヌーヴら出演の日仏合作映画

第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した是枝裕和監督作『万引き家族』が、観客動員300万人、興行収入37億円を突破、大ヒットを記録中だ。そんななか、是枝監督が、カトリーヌ・ドヌーヴやジュリエット・ビノシュら豪華キャストを迎え、フランスでロケをする日仏合作映画『La Vérité(仏題・仮)』(2019年公開予定)の製作が決定した。

主演は、フランスの至宝にして世界的大女優のカトリーヌ・ドヌーヴ、共演に、『イングリッシュ・ペイシェント』(96)でアカデミー賞助演女優賞を受賞したジュリエット・ビノシュ、アカデミー賞作品『6才のボクが、大人になるまで。』(14)のイーサン・ホーク、『8人の女たち』(02)や『スイミング・プール』(03)のリュディヴィーヌ・サニエらを迎える。

ドヌーヴが演じる母は、フランス映画のスター女優。彼女の自伝を出版するにあたり、娘(ジュリエット・ビノシュ)がアメリカから、夫(ジュリエット・ビノシュ)と幼い子どもを連れて帰省する。母と娘が再会したあと、さまざまな真実は露わになり、愛と確執が浮き彫りになっていく。果たして母と娘の親子関係は、修復できるのだろうか!? また、新進女優(リュディヴィーヌ・サニエ)の姿に、母はかつて親友でライバルだった、いまは亡き女優の面影を重ねていく。

本作は、是枝監督が「役者が役を生きている時、演技で泣いている時、笑っている時、役者本人の存在と感情はどこにあるのだろう?」という素朴な疑問を感じたことから脚本を書き始めたそうだ。ベースとなったのは、是枝監督が15年程前に『クローク』というタイトルで途中まで書いていた舞台の脚本だ。

「2011年に、以前から親交のあったジュリエット・ビノシュさんが来日し、対談させていただいた折に、『何か将来的に一緒に映画を』と意気投合しました。それでこの企画が再浮上し、フランスを舞台にして、女優の母と女優にならなかった娘の話にしてみようというアイデアが生まれました」。

カトリーヌ・ドヌーヴとは、自作のフランス公開時に会ったことがあったそうで、今回思い切ってオファーをしてみたと言う。「ドヌーヴさん本人にヒアリングを重ねながら、いま脚本を執筆中です。今回は言語や文化の違いを乗り越えて監督するという、刺激的なチャレンジになりますが、本物の役者たちに正面から向き合ってみたいと思っています」。

キャスト陣からのコメントは下記のとおり。

カトリーヌ・ドヌーヴ「まさか私たちが一緒に映画を作れる日が来るなんて想像もしていませんでした。一緒に映画を作れる…それもフランスを舞台に! 魅力に溢れ、ユーモアと同時に残酷さを備えたすばらしい脚本です。言語の壁については、恐れるよりも私はむしろ好奇心をそそられます。それがもう一つの挑戦になるだろうと知りつつも、是枝監督と一緒に仕事をするのが大変楽しみです」。

ジュリエット・ビノシュ「是枝監督とこの人生の一時を分かち合えることを楽しみにしています。14年前にお会いしてから、この瞬間を待っていました。是枝監督の視線は、柔らかなベルベットのレーザーのように、私たちの心を見透かします」。

イーサン・ホーク「現役で活躍している偉大な監督の一人とコラボレーションできることはまたとない機会です。また、パリで、カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュと一緒に映画を作れるなんて、夢のようなお話です。ある一人のアメリカの俳優にとって、本当に唯一無二の体験になりそうです」。

リュディヴーヌ・サニエ「是枝監督に初めてお会いしたのは『そして父になる』(13)のカンヌでの上映時で、それ以来、ほとんどの是枝作品を観て、交流を持ち続けていました。パリで映画を撮られることを、私は秘かに夢見ていたんです!一緒に映画作りができること、そして是枝監督のフランスの夢の一部になれることを、とても誇りに思います」。

是枝監督作の醍醐味といえば、とことんリアリティを追求した人間ドラマだ。現場で流動的に脚本が変わったり、アドリブを引き出したりと、「現場は生もの」という点を重視してきた。今回は現地スタッフたちとタッグを組む日仏合作となるので、勝手が違うアウェイの現場で、是枝監督がどういう采配をしていくのかが気になるところだ。

本作では、母・娘・孫と三世代の家族関係が描かれていくそうで、現地でオーディションをした子役も出演する。これまでの是枝監督のやり方は、子役には台本を渡さずに口頭で台詞を伝えてきたが、今回子どもの演出についてはまだ模索中とのこと。

「日本と同じやり方でできるのか、違うアプローチをしなければいけないのか、いまそこが一番課題です。1日に撮れる時間も限られているので。そのへんも別のルールのなかで撮らなければいけないので、いま探っているところです」。

撮影の意気込みについては「意気込まないこと。正直『この人がやってくれたらいいな』と思って書いたキャスティングがすべて実現してしまったので、さあどうしようと(笑)。頑張ります」とおちゃめに語った。

是枝監督にとって、初の海外進出作となる『La Vérité(仏題・仮』。世界的にも熱い視線が向けられていることは言うまでもない。

山崎 伸子

『La Vérité(仏題・仮)』※邦題未定
原案・監督・脚本:是枝裕和 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ 撮影:エリック・ゴーティエ『モーターサイクル・ダイアリーズ』(03)、『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』(14) 日本配給:ギャガ 海外セールス:Wild Bunch・ギャガ 仏配給:Le Pacte  
撮影時期:2018年10月初旬〜12月初旬(8週間) 日本公開:2019年予定

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