嫉妬うずまくドロドロ愛憎劇…土屋太鳳、芳根京子が女の欲望むき出しに!
共にNHK「連続テレビ小説」のヒロインを務め、清純派&優等生なキャラクターを多く演じてきた土屋太鳳と芳根京子。そんな2人のW主演作が、累計230万部超えのベストセラーコミックを実写化した『累-かさね-』(9月7日)だ。“美醜”をテーマに女同士のドロドロとした愛憎劇が繰り広げられる本作で、土屋と芳根がこれまでのイメージをぶち壊すがごとく振り切った演技を見せている。
土屋が演じるのは、絶世の美しさを持ちながらも花開かずにいる舞台女優の丹沢ニナ。一方の芳根は、早世の伝説的な大女優を母に持ち自身も天才的な演技力を誇るが、容姿が醜い淵累(ふちかさね)に扮する。美貌と才能、互いに足りない物を求める2人が、キスをすることで相手の顔を奪い取れる“謎の口紅”を使って顔を交換。完璧な大女優を目指そうとするのだが、それが次第に欲望と嫉妬が渦巻く壮絶な女の戦いに発展していく…。
土屋と言えば朝ドラ「まれ」のヒロインを筆頭に天真爛漫な役が目立つが、対するニナは、土屋のイメージとは正反対の高飛車な性格。自分が美しいことを理解しながら、醜い累をとにかく見下しており、髪を引っ張って罵しるだけでなく、地面に倒れた累を「調子に乗ってんじゃないわよ!」とヒールで踏みつけるなど、かなり振り切った姿を披露している。己の欲望をむき出しに傍若無人に振る舞うニナには思わず身ぶるいしてしまいそう。
同じく朝ドラの「べっぴんさん」や『心が叫びたがっているんだ。』(17)など、大人しい役の印象が強い芳根だが、本作の累はより深い闇を抱えている。頬に大きな傷を持つその醜い容姿ゆえにいじめられた過去もあるなど、コンプレックスの塊なのだ。その抑えてきた感情を爆発させるように悲痛な叫び声を上げたり、ニナと罵倒し合ったりと、劣等感をさらけ出す瞬間も度々登場。あまりの痛々しさに目を背けたくなってしまう。
顔の交換という非現実的な設定がカギとなる本作だが、交換後を演じるのはもちろん本人たち。つまり、対極な位置にいるニナと累を、土屋と芳根それぞれが一人二役で演じているのだ。その人格の変貌ぶりは本当に顔が入れ替わったのでは?と錯覚してしまうほど。
物語が進むにつれて、土屋演じる累は女優としての自信を深め、ニナの美貌と名声を独占したいという欲求にかられ始める。一方、芳根によるニナは圧倒的な才能を持つ累に嫉妬心を抱くようになり、自分が侵食されるのでは?という恐怖に陥っていく…。人が持つ闇の部分に深く切り込み、累とニナの内面の変化を全力で体現した土屋太鳳と芳根京子。鬼気迫る2人の演技バトルは必見だ!
文/トライワークス