唐田えりか号泣寸前!カンヌに衝撃を与えた『寝ても覚めても』がついに公開
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、世界中で大反響を集めた濱口竜介監督の商業映画デビュー作『寝ても覚めても』(公開中)の初日舞台挨拶が1日、テアトル新宿で開催され、東出昌大と唐田えりか、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、渡辺大知、そして濱口監督が登壇。会場は大勢の立ち見客でごった返し、本作の注目度の高さを証明した。
芥川賞作家・柴崎友香の同名小説を原作にした本作は同じ顔をした2人の男と、その間で揺れ動く一人の女の8年間をスリリングに描き出した大人の恋愛映画。東京の喫茶店で働く朝子が、コーヒーを届けにいった先で亮平という青年と出会う。次第に惹かれ合いながらも、朝子は亮平に言えない秘密を抱えていた…。
ヒロインの朝子を演じた唐田は冒頭の挨拶から「本当に大好きな作品が…あ、ちょっと泣きそう…」と言葉に詰まる。そして「昨日の夜はクランクインの前日より緊張して今日を迎えることがうれしくもあり、ちょっと寂しいですけど、ようやくみなさんに届けることができて本当に幸せです」と涙をこらえながらコメント。
そんな朝子が劇中でとる行動に、カンヌ国際映画祭では賛否両論が巻き起こったそうで、東出は「フランス人のジャーナリストの人から『婚約中の女性があのような行動をとって、男はあんなに怒るのか?』と訊かれました」と明かし会場を驚かせる。さらに「『この映画はホラーなのか?』とも訊かれました。それに濱口監督が『愛というのは狂気だから』と仰っているのを聞いて、すばらしいことを言うなあと思いました」と述懐。すると濱口監督は「ラブホラー的なね」とにやりと微笑み、会場の笑いを誘った。
また、劇中で東出演じる亮平の同僚・串橋を演じた瀬戸は「あさちゃん(朝子)の行動は理解できなかったけど、だからこそ過去の恋愛から共通点を探して思い出すことがあった」と、突然自身の中学時代の恋バナを展開。「本能の赴くままに行動した結果フラれました。その日は壁を叩いて『神様、何故こんな仕打ちを〜!』ってした経験があります」と語り「ピュアって怖いですね」とはにかんだ。
さらにサプライズゲストとして、原作者の柴崎が花束を持って登場。濱口監督と東出にそれぞれ花束を手渡すと「自分の中でも大事な小説で、転機になった小説が、今までに見たことのないほど心かき乱される映画になって本当に嬉しい」とコメント。その直前に“麦派”か“亮平派”かの話題で盛り上がっていたことを知ってか「私は麦も亮平も好きです」と笑顔を浮かべた。
取材・文/久保田 和馬