森見登美彦の父も太鼓判!大ヒット中の『ペンギン・ハイウェイ』監督&原作者がトーク
新進気鋭のアニメーションスタジオ「スタジオコロリド」が森見登美彦の同名小説をアニメ映画化した『ペンギン・ハイウェイ』(公開中)の公開記念トークショーが6日、TOHOシネマズ日比谷で開催。本作で長編デビューを飾った石田祐康監督と原作者の森見が登壇し、制作秘話を明かした。
8月17日に公開され、週末動員ランキングで初登場ベストテン入りを果たした本作は、公開と同時にSNSやレビューサイトで大きな反響を呼んでいる。冒頭から独特のキャラクターで観客のハートをがっしりと掴んだ石田監督は、公開3週目を迎えた現在の心境を声にならない言葉で表現。そして「良かったなと思えるところと、いまだに『これは現実なのか!?』とふわふわしたところが両方あります」と述懐。
一方で、新作小説の執筆作業でなかなか時間が取れないという森見は、いまだに本作を劇場で鑑賞できていないことを明かす。「でも僕の代わりに父親が気に入ってくれて何回も観に行っているようです」と語る森見に石田監督は「ありがたいですね〜。森見先生が子ども時代を思いだして書かれた部分がある作品なので、“森見少年”を知っている親御さんがどういう感想を抱くのかハラハラしていました」と、安堵の表情を浮かべた。
そして2人は、映画化に至るまでのプロセスを穏やかなムードで振り返っていく。「子どもの頃に感じた衝動や欲求、いろんなものが呼び起こされた」と原作を初めて読んだときの感想を語る石田監督。森見は「自分の原風景を小説にしたいと思っていたので、そういう意味ではとても大事な小説だった。『四畳半神話大系』がアニメになった時はすんなりとOKしましたが、『ペンギン・ハイウェイ』はそう簡単にお渡しできませんと頑なになっていました」と明かし「ドキドキしながら見守っていました」と、それぞれ本作への強い思い入れをのぞかせた。
さらに、初顔合わせの際に石田が作品の核心に触れる質問を遠慮なく森見にぶつけたエピソードや、アニメーション化した上で原作から変化した部分について語っていく2人。トークショーの終盤には来場した観客から質問を募る一幕もあり、男性客から「原作でもおっぱいに対する熱意が強い作品。2人はおっぱいが好きですか?」という直球な質問が飛ぶと、2人は照れ笑いを浮かべながら考え込む。
そして森見はなぜ作中で“おっぱい”にこだわったのかについて、自身の他の作品を引き合いに出しながら解説していき「子どものころの自分を誇張させてアオヤマ君を作ったので、当時の身の回りの謎をあげていったわけです」とその意図を明かす。話は盛り上がりトークショーは時間切れ寸前となり、石田監督は一言「好きです」と満面の笑みで回答。会場からは大きな笑いが起こった。
取材・文/久保田 和馬