土屋太鳳が「本当に難しい役」、芳根京子が「全力で挑んだ」と語る『累 -かさね-』への想い
言葉で伝えるのが苦手だからこそ「お互いの心と心で受け取り合う」、芳根が明かした2人1役
――『累 -かさね-』の劇中ではニナが累を踏みつけたり、罵声を浴びせたりするようなハードなシーンも多いですね。
芳根「バッチバチでしたね!(笑)」
土屋「もう、バッチバチ(笑)。だからこそしっかりコミュニケーションを取ろうと心がけました。そういうシーンこそカットがかかった瞬間に、(抱きしめる仕草をしながら)『大丈夫?ゴメンね!』って。たとえ役に入っていたとしても、人間なので、傷つくと思うんです。なのでちゃんと『累じゃないよ、きょんちゃんは』と役から戻してあげて、私も逆に戻してもらって」
芳根「私は気持ちを言葉でうまく伝えるのが苦手なんですけど、そうやって累とニナも言葉にできない感情をたくさん抱えている。なので自分が演じた累とニナの感情を、どうやったら太鳳ちゃんに渡せるかな?逆に、どうやったら受け取れるかな?という繰り返しで、お互いの心と心で受け取り合いました」
――1人2役、2人1役もすばらしい完成度でした!
土屋「本当に難しい役でした。撮影が始まってから(ニナのマネージャー・羽生田を演じた)浅野忠信さんにアドバイスをいただいて、2人共同で演技ノートを作りました。結局2ページしか使わなかったんですけど(笑)。でもそれが2人にとっていいキッカケになったね」
芳根「あのノートがなかったらどうなっていたんだろう…。いつもは自分の役とは1人で向き合うものですが、今回は1つの役を2人で演じなければいけない。自分はこうだと思っても『太鳳ちゃんはどう演じるかな?』というのがありました。だから悩んだ時は太鳳ちゃんの演技を見たり、原作を読み返したり。ちゃんとなにか答えを見つけてから前に進もう、わからないままにするのだけはやめよう、と自分の中で決めてました」
土屋「私は“愛情”を意識して演じていました。結局、ニナも累も愛情に飢えているんです。累は存在を誰にも認められず生きてきて、ニナの顔になって初めて目を見て会話をしてもらえるようになる。ニナも恵まれているように見えますが、本来の自分を見てもらえないと葛藤しているので」
芳根「正反対のようで、似たような部分も持っているのがニナと累なんです」
取材・文/トライワークス