妻夫木聡が『悪人』で共演3度目の深津絵里に「根性ある女優さん」と太鼓判
芥川賞作家・吉田修一の同名小説を映画化した『悪人』(9月11日公開)のジャパンプレミアが8月2日に東京国際フォーラムで開催。妻夫木聡、深津絵里、満島ひかり、樹木希林、柄本明、李相日監督が登壇。妻夫木たちは、本作にかけた情熱をアピールした。
妻夫木は、本作で心に闇を抱えた金髪の殺人犯・清水祐一役に扮し、新境地を開拓。「原作を読んで、是非やりたいと立候補させてもらいました。役者人生をやってきて、やれることをすべて出し切った作品です」と、力強く挨拶をした。
『フラガール』(06)で高い評価を受けた李相目監督も、「これ以上やれることはないというところまでやった作品。素晴らしい小説を映画化するのはすごいプレッシャーでしたが、素晴らしいキャストやスタッフの方々のおかげでなんとかいい映画になったんじゃないか」と、真摯な表情で語った。
妻夫木と深津は、連続ドラマ「スローダンス」(05)、映画『ザ・マジックアワー』(08)に続いて3度目の共演となる。妻夫木は、ヒロインの馬込光代役を演じた深津について、「役に対して真摯に向き合う女優さん。本当に根性がある女優さんだなあと。実際一緒にお芝居をしてみて、大きな心で僕を受け止めてくれて、自由に芝居ができたので感謝してます」と語ると、深津は「根性だけはあるんです(苦笑)。今回、妻夫木さんの役に向かう覚悟、集中力を間近で感じられ、その力を借りて芝居をしました」と、互いにほめ合った。
その後、『悪人』というタイトルにかけて、自分は「○○人か?」というお題についてそれぞれが回答。妻夫木は、「仕事人」と書いたボードを披露。「本当は『天地人』(09)と書きたかったのですが、李監督にぶっ飛ばされるかなと(苦笑)。自分は仕事人だと思っているので、仕事をください!」と猛烈アピール。「凡人」と書いた深津は、「私は、本当に役によって生かされてるなと。本当は趣味がないくらいにつまらない人間なんです」とはにかみながらコメント。
また、劇中で殺される被害者・石橋佳乃役の満島ひかりは、「生人」とのこと。「映画では死んでますが、私は生きてます」とおちゃめに語った。「極悪人」と書いた李監督は、妻夫木の言葉を受けて、「本当は僕も『天地人』と書きたかったんだけど妻夫木くんにぶっ飛ばされるかなって(笑)。今回、いろんな人を辛い目に合わせたし」とコメントし、会場は大爆笑。
本作は『おくりびと』(08)がグランプリに輝いたことでも話題となった、モントリオール世界映画祭のコンペティション部門に出品されることが決定した。妻夫木は「結果がどうであれ、世界の人たちにちょっとでも観てもらえたら嬉しいです」と語った。
妻夫木らキャスト陣や李監督らが、目一杯力を出し切った感がある力作『悪人』。見終わった後、あなたは誰が“悪人”だと思うのか? 悪人の価値観を揺さぶられる深い物語に、うならされる人も多いに違いない。【Movie Walker/山崎伸子】