“100エーカーの森の仲間たち”に秘められたディズニーのこだわりとは?
世界的人気キャラクター「くまのプーさん」をディズニーが実写映画化した『プーと大人になった僕』(公開中)。大人になったクリストファー・ロビンと“100エーカーの森の仲間たち”の再会を描き出した本作で、プロデューサーを務めたブリガム・テイラーが“100エーカーの森の仲間たち”のある秘密を語ってくれた。
イギリスの児童作家A・A・ミルンが発表した詩集や短編集に魅了されたウォルト・ディズニーが手がけた『プーさんとはちみつ』(66)を皮切りに、アニメーション作品として広く知られることになった「くまのプーさん」の物語。元々はミルンの実の息子であるクリストファー・ロビンと、彼が持っていたぬいぐるみをモデルに描かれたものだった。
それを実写化するにあたりディズニーは、アニメーションでのイメージも大事にしながら、ぬいぐるみという彼ら本来の姿に強いこだわりを発揮。撮影では実際に彼らのぬいぐるみを作り、それらが本当に動き出したかのように描くだけでなく、縫い目や質感、長年人の手に触れ愛情を注がれてきたような色味など、細部に至るまで“ぬいぐるみ感”を追求。原作への徹底したリスペクトが込められているのだ。
さらに劇中でクリストファー・ロビンの忘れ物を届けるために100エーカーの森を飛び出して大都会ロンドンへ向かう彼ら。これまでクリストファー・ロビンの空想の世界とイメージされていた100エーカーの森の仲間たちが、娘マデリンはもちろんのこと様々な人々と会話ができるというのも本作のポイントのひとつ。
テイラーはそれについて「これまでの作品では、100エーカーの森のキャラクターたちは誰にも依存せずに独立して生きているものとして扱われています。つまり、彼らは必ずしもクリストファーのイマジネーションだけによって動いているわけではないのです」と語る。
そして「あのキャラクターたちが空想の産物ではなく誰から見ても自分の意思で動いているリアルなキャラクターである方が、このストーリーがより楽しく、ドラマティックで興味深いものになるのではないかと感じたのです」と、100エーカーの森の仲間たちを表現する上で最も重視した点を明かした。
ぬいぐるみが本当に生きているかのように描くという、まさにディズニーらしい夢と希望にあふれた本作は、日本でも9月14日から公開され週末動員ランキングで堂々初登場1位を獲得。公開から4日間で早くも観客動員44万1000人、興行収入5億7900万円を記録するなど早くも話題沸騰中だ。是非とも彼らの生き生きとした姿を、劇場で目撃していただきたい。
文/久保田 和馬