あの名作を劇場でもう一度!「午前十時の映画祭」が来年でフィナーレ
新たな世代の映画ファン育成を目指し、2010年から映画史に残る名作・傑作の数々を低料金かつ最良の環境で上映してきた「午前十時の映画祭」が、10回目という節目の年となる「午前十時の映画祭10-FINAL」をもって終了することが決定した。
2010年の2月に全国25館でスタートした「午前十時の映画祭」では、これまで『ローマの休日』(53)や『ゴッドファーザー』(72)などの名作の数々を週替わりで1年間にわたり連続上映。老若男女など幅広い映画ファンから大きな支持を集めると同時に、回を重ねるごとに参加劇場と動員を増やしてきた。
現在開催中の「午前十時の映画祭9」は全国58館で開催されており、黒澤明監督の『七人の侍』(54)や『用心棒』(61)などを4Kデジタルリマスター版で上映したほか、全27作品がラインナップ。オープニング作品となった『タイタニック』(97)の上映期間中には、それまでの累計動員数が400万人を突破し、9月末現在では約430万人に達している。
当初は35mmプリントで上映されていた本映画祭だが、デジタル上映の普及に伴い上映劇場の多くがフィルム映写機を手放したことを契機に、2013年から上映素材をデジタルに変更。映画祭を取り巻く環境が大きく変化したことを受けて主催者側の負担が当初の予想よりも増大。映画祭の継続が難しい状況となっていた。
第10回の詳細についてはまだ決定していないものの「午前十時の映画祭」公式サイトではこれまで上映されてきた、また今期にこれから上映される全223本の作品がリスト化。さらに、これまで映画祭に寄せられたリクエスト作品の数々が掲載され、映画ファンからの最後のリクエストを受け付けるとのことだ。
映画ファンにとっては名残惜しいことではあるが、またいつか再開されることに期待を寄せながら、映画史を彩ってきた名作の数々を劇場のスクリーンで堪能していただきたい。「午前十時の映画祭9」は2019年3月28日(木)まで開催中。「午前十時の映画祭10-FINAL」は2019年4月からスタートする。
文/久保田 和馬