カラフルな浴衣で登場!宮崎あおいは「自分自身のことを大事に生きていきたい」
『河童のクゥと夏休み』(07)の原恵一監督の最新作『カラフル』が公開初日を迎え、お台場シネマメディアージュにて舞台挨拶を行った。作品のタイトルにちなみ、キャラクターの声を担当した冨澤風斗、宮崎あおい、麻生久美子らキャストと原恵一監督が、色鮮やかな浴衣で登場。原監督が、「まるで大喜利みたい(笑)」と話すほどのカラフルな浴衣を身にまとったキャストからは、色とりどりのコメントが飛び出した。
本作の原作は、直木賞作家・森絵都のベストセラー小説。一度死んだはずの“ぼく”が、下界に戻って再挑戦するチャンスが与えられ、中学生の少年・小林真としてやり直す。やがて “ぼく”は、真が死を選んだわけを知る。死んだはずの魂が、現世で起こす奇跡が描かれる。
主人公の声を担当したのは、『河童のクゥと夏休み』でクゥの声を担当した冨澤風斗。本作が原恵一作品二度目の出演となる冨澤は、「真くんは親にひどいことを言ったりして僕とは180度違う。役に共感するのは難しかったけど、いろんな妄想をしながら演じました。僕の声は高いので年下の役や動物の役が多いけど、今回は人間の声だったので貴重でした」とコメント。以前から原作のファンだったという宮崎あおいは、キャラクターになりきるためにメガネをかけてアフレコに挑んだ。「この作品はシンプルだけど、大事なメッセージが詰まっています。自分の人生に責任を持てるのは自分だけ。自分自身のことを大事に生きていきたいと思いました」と、作品に込められた思いを語った。
劇中、プラプラという天使のようなキャラクターを演じたまいけるは、「ちょっと悩んだ時は、『カラフル』のことを思い出してみてください。もしかしたらプラプラがお邪魔しにいくかもしれませんよ!」とプラプラになりきったコメントを披露。その優等生ぶりに他のキャストたちも驚いた様子だった。中尾明慶は初のアフレコの仕事に少し苦戦した様子で、「できればもう二度とやりたくない。たぶん自分は出たがりだから、絵が決まっている中で演じるのは少し寂しかったのかもしれません」と複雑な心境を明かした。
原監督は、「アニメーションは派手にやろうと思えばいくらでもできるが、今回は耐えて耐えて人間の感情を描くことに挑戦しました」と作品への思い入れを語った。また舞台挨拶に欠席した高橋克実について、監督は「劇中、おにぎりを食べるシーンで、高橋さんは自分で握ってきたようなおにぎりを食べながら演じてくれた。高橋さんで良かったなと思いました」と高橋の役者魂を感じさせるエピソードを話した。
それぞれの思いが込められた『カラフル』は、大人も子供も生きることの意味を考えさせられる映画に仕上がっている。また、カナダモントリオールヌーボー映画祭コンペティション部門への正式招待、ソウル国際家族映画祭での上映が既に決まっており、その他にもヨーロッパ数ヶ国の映画祭からオファーが来ている本作。是非ともその感動をスクリーンで体感してほしい。【取材・文/鈴木菜保美】