登坂広臣&中条あやみが体現する『雪の華』、内容が気になる!撮影現場に潜入
今年で発売から15周年を迎えた中島美嘉の「雪の華」。世代や国を超えて愛され続けるラブソングの名曲が、映画『雪の華』となってスクリーンに登場する(19年2月1日公開)。歌の世界観に飛び込んだのは、5年ぶりの恋愛映画への参加となる登坂広臣と、注目作への出演が相次ぐ中条あやみ。魅力的なキャストが顔をそろえ、一生に一度の“運命の恋”を体現する。多くの人が口ずさめるあの曲が、どんなラブストーリーとして紡がれるのか…。気になる思いと共に撮影現場に潜入。登坂自身「印象深い」と話す、期間限定の恋人たちの出会いのシーンを目撃した。
メガホンをとるのは、『orange-オレンジ-』(15)や『羊と鋼の森』(18)の橋本光二郎監督。脚本を『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(17)、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」の岡田惠和が担当し、余命1年と宣告されながらも、憧れの地であるフィンランドに行くことを夢見る美雪と、ぶっきらぼうだがまっすぐな青年・悠輔の運命の恋を描く。
記者が訪れたのは、2人の出会いとなる場所、東京・萬年橋での撮影。ここは、その後のデートシーンにも登場するなど、彼らにとって思い出の地となる大事な場所だ。3月初旬、この日は冷たい雨と風が吹き付けるなか、撮影を敢行。2人の出会いは、ひったくりをされた美雪が、カバンを取り返してくれた通りがかりの悠輔に「しっかりしろ」と怒られるという衝撃的なもの。
中条は、丸メガネをかけ、茶のコーデで揃えた地味系女子に変身。トボトボと歩く背中もさみしげで、キラキラした美女のイメージが強い中条の新鮮な表情に驚く。一方、ひったくりをダッシュで追いかける登坂。不器用だが実は優しい青年という役柄もハマっており、さすがの身体能力が見られるのも、本作の注目ポイントだ。ここで悠輔は初対面の美雪をしかりつけるのだが、その時に悠輔が美雪にかけた「声だしてけよ!声!」という言葉によって、美雪は奮起。残された時間のなかで“人生で初めての恋をすること”。そして“憧れの地・フィンランドに行くこと”という、長年の夢に向かって走り出すことになるのだ。
このシーンの感想を聞いてみると、登坂は「2人の出会い方も特殊」と笑顔。「悠輔の第一声や行動、美雪へかける言葉や態度に、悠輔の人間性が出ているなと思いました。美雪のカバンを盗んだひったくりを追いかけ、カバンを美雪に“あの態度”で返し、この映画のキーワードとなる言葉を投げかける。悠輔の強さと優しさとがぎゅっと凝縮されているシーンだと思います」というから、見逃せない。また「中条さんもあのシーンは苦労したと思いますが、お互いにやりづらいところはないか話し合いながら演じました。映画の冒頭部分、観客の方も注目するシーンだと思うので丁寧にやりたいと思いました」と中条とも話し合いを重ねたという。
中条は「美雪が『残りどれだけ生きられるか分からない』ということを病院で告げられ、帰り道ではひったくりをされてなにも反応もできないくらい力が抜けていて…。あのシーンの美雪は、ちょっと諦めている部分があったと思います」と悠輔と出会う直前の美雪について分析。悠輔の言葉をきっかけに一歩踏み出していく美雪だが、勇気を振り絞った結果「100万円を渡すので、1か月でいいから私と恋人になってください!」と名乗りでるのが、またおもしろいところ。中条も「100万円を渡して付き合ってもらうなんて、すごいお話」と楽しそうに話していたが、デートを重ねるごとに悠輔の優しさと恋のトキメキを知り、美しく輝いていく美雪がなんとも健気でかわいいのだ。
橋本監督は、登坂&中条というキャスティングが叶ったことに大満足の感想を語る。「登坂さんは、最初に勝手に思っていたイメージというと、やはり『HiGH&LOW』や、普段活動している三代目(J Soul Brothers)のイメージなど、ちょっとワイルドというか。男臭い感じの役どころが多いし、なんとなくそういうイメージを持っていました。実際に会って話してみると、非常にクレバーで、すごく物事に集中して、これはどうあるべきかと台本を何度も読んで考えて来てくれる方でした」と登坂の姿勢に惚れ惚れ。
そして「中条さんは、バランスの良さが魅力的だと思いますし、なによりも今回は怒った顔とか、ふくれた顔を見せてくれている。中条さんの気持ちを追いかけて観られるという意味で、映画的にもおもしろいものになったと思います」と観客が寄り添える、血の通った女性を演じてくれたと絶賛。渡井敏久プロデューサーも「思っていた通りのステキなお2人だったので、この役はこの2人でしか成立しないと確信しています」と胸を張る。恋の始まりは、ビックリするような出会い。東京とフィンランドを舞台に、せつなくも“幸せがあふれだす”ラブストーリーが展開する『雪の華』。来年2月1日(金)の公開が待ち遠しい。
取材・文/成田 おり枝