東京国際映画祭最大の問題作!?監督&主演女優が神秘的な主人公の秘密を激白!
イベントの終盤には、会場の観客からの質疑応答が行われた。その中で最も多く質問が飛び交ったのが、やはりムイという女性像についてだ。クロエは「役作りの研究する時間がありませんでした。なので私がやったことはふたつ。体重を増やしたことと、今まで役に対して持っていた考え方をすべて捨てて“空”になることです」と感じたままに役を演じたことを明かす。それにはチャン監督も「彼女は普通の娼婦ではない。全世界の娼婦を描いた映画を観ても、彼女に似た人はいない。ある意味で、他の娼婦の映画と比較したら“奇作”でしょう。とんでもない映画になってしまいました」と自信たっぷりに語った。
さらにクロエは、劇中で喘ぎ声や絶叫など声にならないセリフが数多くあることや様々な表情を見せていることについて訊かれ「私が演じた人物は半分が人間で半分が魚」と、本作の物語のベースにある古い伝説について触れる。その上で「監督はこの映画の中で、女性をある種の“神獣”として描き、想像上の人間と動物が合体した何かを表現していると理解しています。人間と動物が合体したキャラクターのセックスというのは、ある種の“解脱”になる。自分はセックスを通して、生きていくために解放されたと。それを私は声や顔を通して演じました」と、ムイの心情を深掘りした。
そして劇中でも披露している「イルカの鳴き声のような声」について「子供の頃から超得意でした」と自信満々に語るクロエは「それをやると建物全体の電気がついてしまうくらい得意。一番得意なことを監督が映画の中で活かしてくれたんです」と笑顔を見せると、その特技を披露。会場は拍手喝采に包まれた。
取材・文/久保田 和馬
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