『東京島』舞台挨拶で窪塚洋介「変態ぶりに拍車がかかっていればいいな」
無人島に漂着した1人の女と23人の男のサバイバル生活を描いた直木賞作家・桐野夏生のベストセラー小説を映画化した『東京島』。8月28日公開初日を迎え、新宿バルト9にて舞台挨拶が行われた。そこで主演の木村多江が、競演の窪塚洋介の熱演に、思わず顔をビンタしてしまったエピソードを明かした。
結婚20周年を迎えた清子(木村多江)と隆(鶴見辰吾)は、クルーザー旅行に出かける。だが、その途中で嵐に遭い、無人島に漂着。救助を待つ日々が続く中、清子は意外なサバイバル能力を発揮する。ある日、23人の若い男たちが島に漂着し、彼らは島を“東京島”と呼び、島でたったひとりの女性である清子を女王のように特別に扱う。やがて月日は流れ、島に安住しようとするだけの男たちに苛立つ清子は、島から脱出するために行動を開始する。
劇中、若さあふれる男性たちの中で、平凡な主婦から新たな自分へと変貌を遂げていくヒロインを演じた木村は、「窪塚さんに罵倒される役で、ずっとイライラしちゃって終わった後もずっとムカムカしていた」とコメント。横にいた窪塚は思い出したように「だからリハでぶたれたんだ(笑)」と笑顔を見せ、木村も「つい頭にきて、叩いちゃった(笑)」と返した。木村の怒りのテンションは夜になっても収まらず、「マネジャーさんに“今日肉食べよう!肉!”って(笑)精神的にも肉体的にも過酷なロケでした」と撮影を振り返った。
一方の窪塚洋介は「島に軟禁状態だったので、自然との距離感がものすごく近くなって、島と一体化していった。劇中、僕は歌を歌ってるんですが、歌詞やメロディーにも島からインスピレーションをたくさん受けました。島のおかげだなと思ってます。変態っぷりに拍車がかかってるといいな」と、映画の舞台となった沖永良部や徳之島への思いを熱く語った。
最後に木村が、「女性や人間が前向きになれるような映画です。見たことのないような美しい自然の中で繰り広げられる人間ドラマが面白い。自分が無人島に行ったら、この中の誰だろうという目線で楽しんでほしいです」と作品をアピールした。
救助の来ない無人島という極限状態の中で、直感と行動力だけを頼りに困難に立ち向かっていくヒロインと、その剥き出しになる人間の本能を、是非とも劇場で目撃してほしい。【取材・文/鈴木菜保美】