『トイレット』初日舞台挨拶で、もたいまさこがサボテン役に立候補?
『かもめ食堂』(06)や『めがね』(07)の荻上直子監督最新作となる『トイレット』(公開中)の初日舞台挨拶が、8月28日、都内で行われ、出演者のもたいまさこ、タチアナ・マズラニー、荻上監督が登場した。
人生は退屈の繰り返しに耐え忍ぶことだと思う。そう信じて生きてきたプラモデルオタクの青年レイ(アレックス・ハウス)、引きこもりピアニストの兄モーリー(デイヴィッド・レンドル)、エアギターで自分のスピリットを表現しようとする大学生の妹リサ(タチアナ・マズラニー)。バラバラで生きてきた3兄妹が、生前に母親が日本から呼んだ“ばーちゃん”(もたいまさこ)と一緒に暮らし、交流していく中で、次第に心の扉を開いていく家族の絆の物語。
タチアナは日本人監督の作品に出演したことについて「一度もナーバスになることはなかったです。監督は率直に指示してくれて、それでいて、自由にやらせてくれた。お互い理解し合えたのは、性格が似ているからだと思います」とコメント。荻上監督は「タチアナはそこにいるだけでみんなを明るくしてくれる存在でした。私とは違うと思うけど、似ていると言ってくれて嬉しい」と現場の雰囲気の良さをアピールした。
劇中でエアギターを披露するタチアナは「あれは本当に練習しました。でも、エアギターの撮影は、仕事なのにこんなに楽しくていいのか、と思うほど楽しかった」と撮影を振り返り、監督は「『かもめ食堂』をフィンランドで撮影した時は、スローペースだったんですが、カナダ人は日本人と同じくらいスピードがあって、やりやすかったです。みんなエネルギッシュで真剣で優しくて、楽しかったです」と、しみじみ。
もたいは、ばーちゃん役について「しゃべらないで済むなんて、ラッキーでした(笑)。撮影中は、スタッフやキャストを細かく観察できて、こんな楽しいことはありませんでした」と笑顔を見せた。それに対し、監督は「(全編英語のため)もたいさんの巻き舌の英語も見たかったですけど」と本音を漏らし、「『かもめ食堂』『めがね』で撮った自分のカラーが、英語でも出せるかどうかが今回のテーマでしたが、叶えられました。次は、メキシコあたりでお酒を飲みながら撮ってみるのも面白いですね」と話すと、もたいが「じゃあ私は(しゃべらずに済む)サボテン役でもやりましょうか(笑)」と提案する場面も。
荻上監督作すべてに出演し、いまやなくてはならない存在となっているもたいは「海外の撮影でしたが、映画という共通言語があるので、特にトラブルはなかった。ビルを一棟建てちゃうんじゃないかと思うくらい、監督は頼もしい。次の作品が楽しみです」と次回作への期待も寄せた。【MovieWalker】