手塚治虫の問題作「ばるぼら」が稲垣吾郎で実写映画化!「愛をむきだしにしている僕を楽しんで」
手塚治虫の問題作「ばるぼら」が初めて実写映画化されることが11月20日、帝国ホテルで行われた「手塚治虫生誕90周年記念会」で発表された(2019年公開予定)。メガホンをとるのは手塚治虫の実子で、『白痴』(99)、『ブラックキス』(04)などで知られる手塚眞監督。主演には稲垣吾郎と二階堂ふみが抜てきされ、異常性欲に悩まされている耽美派小説家を演じる稲垣は「愛をむきだしにしている僕を、皆さんに楽しんでいただけるのでは」と手応えを語った。
手塚治虫が、禁断の愛とミステリー、芸術とエロス、スキャンダルやオカルティズムなど様々なタブーに挑み、その独特な世界観から“映像化不可能”と言われた原作が、手塚治虫の生誕90周年を記念して初めて映像化される。“ばるぼら”(二階堂)という名前の謎の少女に翻弄される小説家・美倉洋介(稲垣)のエロティックで奇怪な体験をつづる物語。手塚眞が監督を務め、ウォン・カーウァイ監督の映像美を支えてきたクリストファー・ドイルが撮影監督を担う。
手塚監督は「父親の原作で、実写の映画を作るのは初めて」と切り出し、「特別な思い入れのある作品」と告白。手塚作品のなかでも大人向けの内容となるが「子どものころから読んでいた。いけない子どもだった」と親しんできた原作だそうで、「自分が監督として表現してきたものと、父親の作品との接点が感じられた。これは自分がやれる作品だと確信した」と力強く語る。
稲垣と二階堂を抜てきした理由として「手塚漫画がすごく似合う2人」と語った手塚監督は、「いつか仕事をしたいと思っていた2人。『ばるぼら』にぴったりだと思った。期待以上のことをやっていただいた」とキャスティングに大満足の表情。稲垣は「子どものころから、手塚先生の作品を拝見していた。舞台で『七色いんこ』をやらせていただいたこともある」と手塚作品との縁を語り、「ばるぼら」を「怪作」と表現。“ばるぼら”に魅了され、迷宮のような世界に落ちていく男性を体現し、「自分にとって新しい挑戦だし、いまこのタイミングでなければ演じられない役。愛がむきだしになった僕を、皆さんに楽しんでいただけるんじゃないかと思います」と自信をのぞかせた。
稲垣は「(撮影の)クリスさんと監督のコラボレーションによって生みだされる世界観が、美しく耽美的で、少し退廃的で。自分の好みにも合っていた」と世界観にどっぷりと浸かったようで、「そこで演じていた時間が夢のよう。現実なのかなと思うくらい」と撮影期間を述懐。「そこに誘ってくれたのは、“ばるぼら”を演じた二階堂さん。いままでに経験したことのない出来事でした」と初共演となった二階堂に感謝しきりだ。
さらに「撮影が終わってしまうと、もう“ばるぼら”に会えなくなっちゃうのかなとさみしくなってしまう」と胸の内を語ると、二階堂は「光栄です」とニッコリ。「物心ついた時から、ずっとテレビで拝見していた方」と稲垣について語り、「文学を感じる方。初めて難しい本を手に取った時のような感覚のする方」と印象を吐露。「一緒にお芝居をしていると、どんどん自分のなかに眠っている“ばるぼら”を起こされるようだった」とこちらも稲垣から大いに刺激を受けたことを明かしていた。
取材・文/成田 おり枝