史上初の“スペシャル・パルムドール”受賞!ゴダール究極の野心作が日本上陸決定
『万引き家族』(18)が最高賞“パルムドール”を受賞した第71回カンヌ国際映画祭で、映画祭史上初めてパルムドールを超越する賞として設けられた“スペシャル・パルムドール”に輝いた、ヌーヴェルヴァーグの巨匠ジャン=リュック・ゴダール監督の最新作『イメージの本』が、2019年ゴールデンウィークに日本上陸することが決定した。
本日12月3日に88歳の誕生日を迎えたゴダール監督は、エリック・ロメール監督やジャック・リヴェット監督ら、ヌーヴェルヴァーグを牽引した監督たちが近年相次いでこの世を去るなか、今なお精力的に、そして野心的な作品を世に送りだし続けている。新感覚の3D技法で世界中を驚かせた『さらば、愛の言葉よ』(14)以来の単独長編監督作となる本作は、イメージと音を多用した84分間のアート体験だ。
「私たちに未来を語るのは“アーカイブ”である」と語るゴダールが、新撮シーンに既存の絵画・映画・テキスト・音楽を巧みにコラージュし、現代に蔓延する暴力や戦争、不和に対する怒りを乗せながら、未来を指し示す5章で構成されている。そんな本作のストーリー解説は次のような言葉で記されており、想像力が早くも刺激されること間違いなしだ。
「静寂にすぎない。革命の歌にすぎない。5本指のごとく、5章からなる物語。」
また、劇中には世界で最初の映画として知られているリュミエール兄弟の『ラ・シオタ駅への列車の到着』(1896)や喜劇王バスター・キートンの作品、また『市民ケーン』(41)や『河』(51)、『めまい』(58)といった映画史上に残る名作から、近年の作品に至るまで様々な映画がアーカイブ映像として登場するとのこと。
これまで『勝手にしやがれ』(59)や『気狂いピエロ』(65)など、自らの手で映画史の流れを一新してきた世界的巨匠が放つ究極の野心作。きっと劇場のスクリーンで本作を観るということが、これまで誰も味わったことない新たな映画体験への入口になるかもしれない。日本公開の瞬間を心して待ちたい。
文/久保田 和馬