スネオヘアー、坊主役で「自分を格好良く見せる気持ちを一切断つ」
12月25日(土)より公開の『アブラクサスの祭』(福島県では10月9日より先行上映)が全国に先駆け、福島こどものみらい映画祭にて初上映され、主演のスネオヘアー、ともさかりえ、小林薫、加藤直輝監督、原作者である玄侑宗久が福島県国見町観月台文化センターで行われた舞台挨拶に登壇した。
本作は、福島県三春町在住の現役僧侶で、芥川賞作家・玄侑宗久初の映像化作品だ。昨年11月からの約1ヶ月間、オール福島ロケで撮影され、福島全地域でオーディションを実施し、多くの福島県民キャストが出演している。映画初主演のミュージシャン、スネオヘアーが坊主姿でライブを開くことを夢見るウツの僧侶を熱演する。また監督には、大学時代に北野武、黒沢清らから教えを受けたという新鋭・加藤直樹が務め、悩める僧侶の生き様と彼を支える周囲の人々との関係を丁寧に紡ぎ出す。
本作の役作りについて、主演のスネオヘアーは、「お坊さんという役作りで、思い切って頭を剃髪しました。やっぱりミュージシャンなので髪の毛ってとても大事なんですよね。だから非常に残念な姿になりましたね(笑)。お寺で剃髪式をやりましたが、意味があるんですよね、坊主にするということには。教えていただいたのですが、俗念を断つというか、格好の良い風に自分を見せるという気持ちを一切断つ。毎日毎日かみそりをいれていかなかればならないので、手がかかるということも。監督が音楽にこだわってくれて、最初で最後の主役をやらせていただきました。なんとか演じきりました」とコメント。本作のお勧めシーンについて、ともさかは「スネオさんとの夫婦でのちょっとしたやりとりのシーンと、ラストのライブシーンは個人的にも思い入れもあるのでぜひ見ていただきたいです」と話した。また、福島の方言を使う役柄について小林は、「難しかったですよ。地元の人みたいだと、褒め言葉をいただきましたが、決してそんな風には聞こえないと思いますが、自分が方言を話しているシーンは耳をふさぎたい(笑)」と振り返った。最後に加藤監督は、本作について「お坊さんがロックをするというところに惹かれてこの作品を映画化したいと思いました。音楽が重要な要素になっています。またライブシーンをしっかりと描きたかったので、主演の浄念役にはミュージシャンのスネオヘアーさんにお願いして、ラストのライブシーンは素晴らしいシーンになりました」と締めくくった。
今年の福島こどものみらい映画祭のテーマが“生きる力”であり、『アブラクサスの祭』の作品内容と重なるということから、映画祭のシンボル作品として上映。大勢の地元の人々が会場に来場し満席となり、大盛況の舞台挨拶となった。【MovieWalker】