柳楽優弥、バイト経験も糧に…快進撃は「まだこれから」もがいた過去と見つめる未来
“いま最も目が離せない俳優”と言うと、柳楽優弥を思い浮かべる人も多いはず。快進撃の続く彼だが、14歳にして是枝裕和監督の『誰も知らない』(04)でカンヌ国際映画祭史上最年少の最優秀主演男優賞に輝いた後は、「どうしたらいいのか」ともがく10代を過ごしたという。最新作『夜明け』(1月18日公開)では、是枝監督の愛弟子である広瀬奈々子監督のもと、挫折した若者の揺らぎを体現。「役柄に共感できた」と10代に抱いていた想いをぶつけるかのように「特別な感情で挑んだ」と話す。「たくさんの出会いを重ねていくことで、自分らしさを見つけたり、確立したりすることができたと思う」と大人の役者として開花するまでの道程を振り返るなかでは、「バイトもした」との告白も。葛藤の日々や、「(快進撃は)まだこれからです!」と海外進出へも目を輝かせる今後の野望について語ってもらった。
是枝監督への特別な想い
本作は、シンイチと名乗る謎めいた青年(柳楽)を主人公に、挫折した人間が自分と向き合うまでの道のりを描く人間ドラマ。木工所を経営する哲郎(小林薫)が川辺で倒れているシンイチを助け、彼らが信頼関係を築いていくなか、シンイチの過去が明らかとなっていく…という物語だ。柳楽への主演オファー時、広瀬監督は「互いにとって父なる存在である是枝監督に、自立を宣言するものを作りたい」と話したそう。
快諾した柳楽は、広瀬監督とのタッグに喜びをにじませる。「僕はデビュー作が『誰も知らない』という是枝監督の作品。是枝監督には、大きな感謝があります。広瀬監督は、是枝監督のもとで監督助手をやってきた方でしたので、たくさん話し合いをしながら、信頼してついていきました。広瀬監督とは年齢も近いですし、刺激にもなって、とても楽しかった」と充実の表情。
シンイチは不安を抱えたまま、先が見えずにさまよっている青年だ。繊細な感情表現が必要となる役どころで、掲げたテーマは「生命力をあふれさせる」ことだという。「シンイチは周囲の期待が大きくて、人生を一度は諦めかけてしまうけれど、真っ暗なトンネルの中を歩いていこうとする。哲郎さんとの出会いなどを通して、前進する姿勢が見えてくる。僕も出会いには感謝することが多いので、共感ができます」とシンイチに心を寄せる。