20周年を迎えたショートフィルムの祭典、EXILEメンバー、YOSHIKI、河瀬直美監督を迎えにぎやかに開催|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
20周年を迎えたショートフィルムの祭典、EXILEメンバー、YOSHIKI、河瀬直美監督を迎えにぎやかに開催

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20周年を迎えたショートフィルムの祭典、EXILEメンバー、YOSHIKI、河瀬直美監督を迎えにぎやかに開催

LAにダンススクールを開校し日米のエンタテイメント業界をつなぐLDHの面々。左から、小林直己、EXILE AKIRA、EXILE HIRO、今市隆二
LAにダンススクールを開校し日米のエンタテイメント業界をつなぐLDHの面々。左から、小林直己、EXILE AKIRA、EXILE HIRO、今市隆二Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

ショートショートフィルム フェスティバル&アジア(SSFF&ASIA)の20周年を記念して、現地時間1月17日に「ショートショートフィルム フェスティバル in Hollywood」が開催された。SSFF&ASIAは、02年にハリウッドのエジプシャンシアターで映画祭を開催したことがきっかけとなり、04年よりアカデミー賞公認映画祭に認定されている。この1日限りの映画祭は、17年ぶりにハリウッドに戻ってきたSSFF& ASIAと外務省による文化発信拠点ジャパン・ハウス・ロサンゼルスが主催、在ロサンゼルス日本総領事館の共催によって開催された。

【写真を見る】河瀨監督によるマスタークラスでは観客からの「若手クリエイターへのアドバイスは?」という質問に一言「オリジナリティ!」と答えた
【写真を見る】河瀨監督によるマスタークラスでは観客からの「若手クリエイターへのアドバイスは?」という質問に一言「オリジナリティ!」と答えたPhoto by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

SSFF&ASIAは、「若手映画人の育成・応援」をミッションの一つに掲げており、ハリウッドで日本文化を発信するジャパン・ハウス・ロサンゼルスの海部優子館長が賛同、共同で映画祭を開催する運びとなった。午後に行われた河瀨直美監督のマスタークラス「映画の可能性(Possibilities of Film)」は、ロサンゼルスとしては珍しい大雨にもかかわらず大勢の観客が来場。観客の多くはロサンゼルス近郊の大学などで映画を学ぶ学生で、南カリフォルニア大学で教鞭を執るアキラ・ミズタ・リピット教授と河瀨監督の対話を聞き真剣にノートを取っている姿が印象的だった。2020年の東京オリンピックの公式記録映像制作を手がけることが発表されている河瀨監督は、昨年が映画監督デビュー30周年。

大雨の中大勢の観客が河瀨監督のマスタークラスを聴講
大雨の中大勢の観客が河瀨監督のマスタークラスを聴講Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

「私は平成が始まった年から映画を作り始めて、今年その平成が終わります。特に平成最後の10年は以前の20年に比べてすごい速さで映画を作り続けました。自分の中でそれがなんだったのかと振り返ると、とにかく渇望していた。“作る”というのはなにかが足りないということなので、足りないものを自分で発見し形作る10年だった。作品の形態がフィクションなのかドキュメンタリーなのかというのは、出会う人たちとのコラボレーションによります。私自身の中の渇望、欲望と出会った人の欲望がマッチングしたときに作品が生まれる気がします」と、創造の源について語った。また、2013年にカンヌ映画祭の審査員を務めた際、審査委員長のスティーブン・スピルバーグからかけられた「直美、作家は常にハングリーでいなくてはいけない」という言葉が、河瀨監督が創作を続ける後押しとなった。「それはスティーブンが自分自身に課している言葉なんだと思う。世界の第一線にいつづける監督が貪欲さを自分に課していると思うと、キャリアを重ねることはハングリー精神が足りなくなることなんだ、それがなぜ重要なのかをとても考えさせられました。人と触れあいながら学び、謙虚にハングリーさを追求してことが重要なのかな。特に作家はそれを持っていないと、いろいろと甘んじてしまう環境が用意されているので、そことの闘いなんだと思います」(河瀨監督)。河瀨監督の2本の短編映画上映のあとは観客とのQ&Aが行われ、ハリウッドで開催された初のマスタークラスは、満場の観客の大きな拍手によって閉幕した。

「来週、映画関連で重要な発表がある」と示唆するYOSHIKI
「来週、映画関連で重要な発表がある」と示唆するYOSHIKIPhoto by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

夜にはSSFF&ASIAの20年の歴史を感じさせるセレモニーイベントが開催された。レッドカーペットには、SSFF&ASIA代表の別所哲也をはじめ、EXILE HIRO、本イベントのアンバサダーのEXILE AKIRA、小林直己、河瀨直美監督、『カクテル』(88)監督のロジャー・ドナルドソン、ミュージシャン・俳優のMIYAVIら豪華ゲストが集結。ジャパン・ハウス・ロサンゼルスのアドバイザーを務めているYOSHIKIも駆けつけた。別所哲也代表は、「20年の道のりは決して短いものではなかった。ハリウッド開催を迎えられとても感慨深い。これまで映画祭に参加してくれた数多くの監督たちに感謝するとともに、新たなスタートして世界に羽ばたくクリエイターをこれからも応援していきたい」と挨拶。アンバサダーの小林直己は、リドリー・スコットが制作総指揮を務める『アースクエイク・バード』のNetflix世界配信を控えており、日米の映画界で活躍していく所信を表明した。

「日本のボーイズグループです」と挨拶する小林直己に「君たちがボーイズグループ?メンズグループでしょ!(笑)」と切り返すジェイソン・ライトマン監督
「日本のボーイズグループです」と挨拶する小林直己に「君たちがボーイズグループ?メンズグループでしょ!(笑)」と切り返すジェイソン・ライトマン監督Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

また、01年にSSFFで上映された『In God We Trust』(00)で観客賞を受賞したジェイソン・ライトマン監督に映画祭から名誉賞を贈呈。アンバサダーのEXILE AKIRAからトロフィーを受け取ったライトマン監督は、「2001年、この映画祭で来日した際に出会ったクリエイターのギャレス・スミスに、『JUNO/ジュノ』(07)を始めとする数々の作品でタイトル映像を作ってもらっている。彼はいわばショートショートの同級生」と語った。

満席の会場からは、ゲストが登壇するたびに大きな歓声と拍手が!
満席の会場からは、ゲストが登壇するたびに大きな歓声と拍手が!Photo by Ryan Miller/JAPAN HOUSE Los Angeles

今回のイベントにて、HIROが制作総指揮を務める「シネマ・ファイターズ」の第三弾で、三代目J SOUL BROTHERSのボーカル、今市隆二が俳優として演技初挑戦をすることが発表された。文化庁新進芸術家海外研修制度で今年1年間ロサンゼルスに滞在予定の松永大司が監督を務める。このあと松永監督がTAKAHIROを主演に撮った『カナリア』、SSFF & ASIA 2018のグランプリ作品(ジョージ・ルーカス アワード)に輝いた『カトンプールの最後の日』(イー・ウェイ・チャイ監督、シンガポール作品)や昨年アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した辻一弘氏を追ったドキュメンタリー作品『The Human Face』(アライン・ピメンテル監督、米国作品)、監督・脚本:河瀨直美、主演:別所哲也による『嘘 – LIES – 』などが上映された。

ショートショート フィルムフェスティバル & アジアは、今年6月に21回目の開催を予定している。

取材・文/平井伊都子

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