『アイルトン・セナ 音速の彼方へ』公開記念!アシフ・カパディア監督インタビューPART2

インタビュー

『アイルトン・セナ 音速の彼方へ』公開記念!アシフ・カパディア監督インタビューPART2

(アシフ・カパディア監督インタビューPART1より続く)

――貴重な映像がふんだんに使われています。そして未公開の貴重な映像もまだあるかと思います。今回の使用映像のセレクションはどのような基準で行われたのでしょうか?

「(セレクションは)本当に難しかった。下手をすれば3時間の映画になってしまうところだったよ! アイルトン・セナの人生における重要なシーンを全て取り入れながら、彼の物語を伝えることにベストを尽くさなければならなかった。彼のファンなら既に知っていて、今回見たいと思っている場面を、私たちは新たな視点から見せたかった。未公開映像を使用することで、それぞれのレースをファンがかつてテレビで見たレースとは違うものにしたかったんだ。私たちには世界中に素晴らしい調査チームがいたから、日本やブラジル、F1のアーカイブ、またアイルトン・セナの家族のホームビデオから、新しい映像を手に入れることができた。サーキットでのアイルトン・セナ、舞台裏映像、ドライバーブリーフィングの様子、そして重要なのはレースから離れた素顔のアイルトン・セナの映像だ。私たちにとって重要なポイントは、語り手の顔が出てくるテレビドキュメンタリーのような映画にすることを可能な限り避けることだった。私たちが目指したのは、アイルトン・セナが自分の言葉で彼のストーリーを語る劇場映画だ。関係者に当時の思い出を語らせるより、実際に何が起きたのかを見せたかった。最大の問題点の1つは本編の長さだった。見事なレースや追い抜きの場面映像や、チャンピオンシップを賭けた素晴らしいクライマックスの映像が多く存在したし、セナは知的で説得力のある話し手だったから、同じ話を二度取り上げないようにするのが課題だった。ストーリーを進行させ、観客をアイルトン・セナがたどった素晴らしい旅から目が離せないようにするために、映像の選別にはタフにならざるを得なかった」

――この映画を通じて観客に最も訴えたいことは何ですか?

「アイルトン・セナがいかに素晴らしい人間だったか、また、彼があれほどの短期間にどれほど多くのことを成し遂げたかを観客の記憶に刻みたい。彼の顔を知らない人や、しゃべっている彼を見たことがないような新しい客層に、この映画を是非見てほしい。彼は信じるもののために立ち上がり、限界まで自分の人生を生きた。世界中の何百万という人々に喜びを与えたんだ」

――撮影を終えて、あなたにとってアイルトン・セナという男はどういう存在になりましたか?

「この作品の製作は、私たちチーム全員にとって壮大な旅だった。私たちは膨大な時間をアイルトン・セナと一緒に過ごした。何千時間も彼の映像を見て、彼の声を聞き、彼の表情を研究し、彼を愛し、共に戦った人々に会うことでね。だから、私はアイルトンに会ったことがないけれど、前よりも彼に近づいた気がするし、レース中とレース外の両方の顔を知ることができ、ますます彼を尊敬するようになった。彼が何のために戦っていたか、何を理想としていたのかを理解したよ。彼は天才ドライバーだった。情熱にあふれ、賢明で、スピリチュアルな面を持った熱心なレーサーだった。彼にとって勝つことが全てだったけれど、レースを離れるとドライバー仲間を大切にする男だった。ブラジルの貧しい人々や子供たちにとって、夢中になれる人物像がいなかった頃、彼はそういった人々を助けようとしていた。アイルトン・セナは私にとって真のヒーローだ」

34歳という若さでこの世を去ったアイルトン・セナ。10月8日より全国23館で上映開始後、瞬く間にセナ&F1ファンはもちろんのこと、幅広い層の心をつかみ、7日間で興収3650万円を超えるヒットとなっている。それを受けて新たに約40都市で順次拡大公開されることも決まった。世界中を魅了したアイルトン・セナの熱い想いはますます加速しながら日本中を駆け巡っていく。【MovieWalker】

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