『七つの会議』野村萬斎を池井戸潤が絶賛「小説を読んでないと決めつけていた」と恐縮
直木賞作家・池井戸潤の同名小説を映画化した『七つの会議』の公開記念舞台挨拶が2月1日に公開され、TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催。主演の野村萬斎、香川照之、及川光博ら豪華キャストと福澤克雄監督が登壇した。サプライズで原作者の池井戸から萬斎への手紙が代読された。池井戸は「すばらしい作品に仕上げていただいた」と萬斎たちキャストやスタッフに感謝した。
その後「実は映画の八角は、原作のイメージとかけ離れたものだったので、きっと萬斎さんは小説を読んでないと勝手に決めつけておりました。でも、対談をさせていただき、原作をしっかり読み込んで臨まれたと聞いて驚きました。天賦の才以外のなにものでもありません。演者としての間口の広さ、奥深さに感銘を受けました」と池井戸は大絶賛した。
萬斎は「身に余るお褒めのお言葉をちょうだいし、恐悦至極でございます」と恐縮した。
初のサラリーマン役、初の池井戸潤作品に出演した萬斎は「正義とはなにかと。扱っている内容は大きなものだった気がします。テンションの高さ、ぶつかり合いで、格闘技のような感じでした」と感想を述べた。
香川は冒頭で部下たちを叱責するシーンに全力投球したそうだ。「萬斎さんは(ぐうたらな役なので)ただ寝てるだけ。誰がエンジンを回すんだ?ってことで、僕が回さないとしょうがないと。『七つの会議』は1ラウンドからいかなきゃダメだと」。
萬斎は笑いながら「人の台詞を食いまくってしゃべるなあと」と言うと、及川も「せっかく覚えてきた台詞をね(苦笑)。でも、それがすばらしかったというか、助かりました。僕は1ラウンドでノックアウトで、おえって吐いてしまった」と香川の熱演を称える。
さらに及川は香川の表情筋のすごさについて「鉄板焼きのアワビのよう」とたとえると、香川は「僕はアワビ俳優!?」と笑う。及川は「アワビの地獄焼き」と言うと、会場は爆笑の渦に包まれた。舞台挨拶には、萬斎、香川、及川のほか、朝倉あき、吉田羊、北大路欣也らキャストも登壇した。
『七つの会議』は、連ドラ「半沢直樹」シリーズや『祈りの幕が下りる時』(18)の福澤克雄監督作。中堅メーカー・東京建電で営業一課の万年係長・八角民夫(野村萬斎)が、ある日トップセールスマンの課長・坂戸(片岡愛之助)から怠惰ぶりを叱責される。その後、八角は坂戸をパワハラで訴えるが、次第に社内の裏事情が明かされていく。
取材・文/山崎 伸子