「母の遺骨を食べたい」…ジャンル不明の“ぼくいこ”には想像以上の感動が待ち受ける!

映画ニュース

「母の遺骨を食べたい」…ジャンル不明の“ぼくいこ”には想像以上の感動が待ち受ける!

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。

突然、何を言い出すのかと思わせてしまったかもしれないが、これは2月22日(金)より公開となる映画の題名だ。そのタイトルだけでは、一見するとサイコなホラーなのか、それともコメディなのか、なんとも内容が想像しづらい本作。果たしてどのような作品なのだろうか?

母の死とそれに向き合う家族たちの姿を描いた感動作『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
母の死とそれに向き合う家族たちの姿を描いた感動作『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』[c]宮川サトシ/新潮社 [c]2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』は、Webを中心に活躍する漫画家・宮川サトシが14年にネット上で発表し、SNSや口コミで大きな話題となった、母の死後も続く日常を描いた同名のエッセイ漫画を原作としたヒューマンドラマ。いつも明るく、パワフルな母と過ごした思い出を織り交ぜながら、安田顕演じる漫画家サトシが、彼女の亡き後の葛藤や憂うつの入り混じった日々を、残された家族たちと共に必死に乗り越えていく姿を、ユーモラスにそして誠実に描いた物語だ。

「母の遺骨を食べたい」…このタイトルの意味は?
「母の遺骨を食べたい」…このタイトルの意味は?[c]宮川サトシ/新潮社 [c]2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会
豪華キャストたちの感情的な演技が心を揺さぶる
豪華キャストたちの感情的な演技が心を揺さぶる[c]宮川サトシ/新潮社 [c]2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

誰もが迎える“死”という題材を真正面から奇をてらわずに描いた本作を成り立たせているのが、豪華キャスト陣の演技だ。どこか頼りないお調子者のサトシを演じる安田顕のまとう、絶妙な等身大の雰囲気や、母を演じた倍賞美津子の心から人生を謳歌するエネルギッシュな佇まい。松下奈緒扮する妻の健気だが、時に厳しくサトシと接する姿など、どの役者もハマり役。彼らからこぼれるあまりに自然な表情には、誰もが優しい気持ちにさせられるだろう。

パワフルでいつも明るい母親を倍賞美津子が見事に体現した
パワフルでいつも明るい母親を倍賞美津子が見事に体現した[c]宮川サトシ/新潮社 [c]2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会
大森立嗣監督の、丁寧な演出も冴えわたっている
大森立嗣監督の、丁寧な演出も冴えわたっている[c]宮川サトシ/新潮社 [c]2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

そんな彼らの偽りのない演技を引き出したのが、監督・脚本を務めた大森立嗣。茶道の奥深さに触れた女性の成長を映した『日日是好日』(18)や、オフビートなユルさが炸裂した会話劇『セトウツミ』(16)に、便利屋として生きる男たちのバディムービー『まほろ駅前多田便利軒』(11)まで。緩やかなムードの中、さりげない感動を誘う作品を手がけてきた彼は、まさに本作にピッタリ。

さらに、忘れがたい過去にとらわれる女と男の複雑な関係を描いた『さよなら渓谷』(13)や、とある過去の事件をもとに、人間たちの暗部が浮かび上がる『光』(17)など、ダークな雰囲気を持つ作品も。さまざまな形で人間という物を掘り下げてきた監督だからこそ撮れる、派手さはないが演技の間や表情を捉えた印象的なショットなど、本作でも丁寧な演出で人間の感情をあぶり出し、物語に深い感動を与えているのだ。

タイトルからは想像がつかないほど、中身は心温まる作品になっている本作。そして、母の死の1年後に届く“驚くべき贈り物”とは何なのか?どうか感動の結末を、劇場で見届けてほしい。

文/トライワークス

関連作品