柴咲コウ、芸能活動20周年。初心を忘れない姿勢とチャレンジし続ける勇気に迫る
一億総評論家となったSNS時代の難しさ
今年で芸能活動20周年を迎えた柴咲からは、常に凛とした印象を受けるが、彼女自身は「あっという間に経っちゃった」とまったく気構えていない様子。「あまり数字などは気にしていないのですが、こうやって活動できるのは、支えてくれる人々のおかげなので、そこはちゃんと忘れないようにしたい」。
これまでやってきた女優業の難しさについても聞いた。「見られることが前提にあり、評価が必ずつきまとうこと。いまは誰もが批評家になれてしまうSNS時代だから、その影響をあまり受けない強さを持てるかどうかが大事で。女優業に限らず、他の分野でも人の意見を気にせざるを得ないから、そこはすごく生きづらいというか、やりづらい部分があります」。
そういったSNS時代のなかでも、柴咲は真摯に仕事と向き合っている。「自分という魂やこれまでの経験、人との出会いなどをフル活用し、演じる役柄に集中していくことが大切なので、これからもそのことだけは忘れないよう、実直にやっていきたい。俳優業は1つのオフィスでずっとやる仕事ではなく、毎回チームが変わるから、その順応性も必要な仕事だなとつくづく感じます」。
初心を忘れない姿勢と、したいことを行動に移す勇気
今年は、主演ドラマ「連続ドラマW 坂の途中の家」(今春、WOWOWプライムで放送)が待機中。大河ドラマ「おんな城主 直虎」(17)以来、約2年ぶりの連ドラ主演となるが、柴咲は「いつも初心でいます。お芝居は慣れるものではないですから」と、常に襟を正して新作に臨んでいる。
「もちろん、進行の仕方など、勝手はわかっているけど、違う作品に入った瞬間は、まっさらにして、初めてみなさんとセッションする感じです。一期一会だし、その瞬間のフレッシュさみたいなものは忘れないようにしていたいです」。
女優、アーティストとして活躍しながら、昨年は、環境や生活に負荷の少ない衣服と雑貨を提供するアパレルブランド「MES VACANCES」をプロデュースした。
「周りの環境に対して、あまりにも目を向けない人が多すぎると危機感を持ち、自分がやらなければ、と駆り立てられました。もちろん、自分自身がそれまで知らなかったことについての反省も込めています。そのことを知って広めていくことが自分の役割だと思い、行動に移しました。これまでは、どこかリミッターをかけてしまっていたけど、周りの意見などに押しつぶされてしまうのはよくないなと」。
女優、歌手、デザイナーなど、いくつもの顔を持つ柴咲だが、すべての創作活動は同じベクトルにあると言う。「いい意味で欲が湧き上がってくる感じ。あとは自分のやりたいことが、必要とされていることとマッチすれば一番いいし、すごく贅沢なことだと思います。やはり楽しくなかったら続けていられないので、楽しんでいきたいです」。
取材・文/山崎 伸子