構想50年!?名脚本家が問う、本年度アカデミー賞ノミネートの渾身作とは

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構想50年!?名脚本家が問う、本年度アカデミー賞ノミネートの渾身作とは

『タクシードライバー』(76)、『レイジング・ブル』(81)などの脚本を手掛け、また監督としても『ハードコアの夜』(79)、『アメリカン・ジゴロ』(80)など映画史に残る作品を生みだしてきた巨匠ポール・シュレイダー。彼が構想50年の末に完成させた渾身作『魂のゆくえ』(4月12日公開)のポスタービジュアルと予告映像が到着した。

本作は、戦争で失った息子への罪悪感を背負って暮らす牧師のトラーが、自らの所属する教会が社会的な問題を抱えていることに気づき、徐々に信仰が揺らぎはじめ、諦めと怒りに満ちていく様子を描いた物語だ。

このたび解禁された予告編は、美しくも物悲しい行軍曲「リパブリック讃歌」をバックに、実力派俳優イーサン・ホーク演じるトラーが、息子をイラク戦争で失った過去を打ち明ける場面から始まる。彼は礼拝で出会った女性信徒のメアリー(アマンダ・セイフライド)と次第に心を通わせていくが、彼女に訪れる不幸や、教会の運営を巡る上層部との対立などの悲運に見舞われ、ある決心を下すことになっていく。

また、同時に公開されたポスタービジュアルには、黒い背景にトラーの静かな意志を感じさせる横顔、その上を横切る直線上の炎が描かれており、真っ赤に縁どられた輪郭が、木々と教会が燃えていることを明らかにしている。

第43回トロント国際映画祭でお披露目された本作は、批評家からシュレイダーの最高傑作と絶賛を浴びた。本年度の賞レースでも大きな話題を呼んでおり、アカデミー賞の前しょう戦として知られるゴッサム・インディペンデント映画賞では脚本賞と男優賞を受賞するなど、数々の賞を受賞している。

さらに、日本時間2月25日(月)に発表を控える第91回アカデミー賞では、シュレイダーが初となる脚本賞ノミネートを果たしており、受賞への期待が一気に高まっている。“無冠の巨匠”が初のオスカーを獲得できるのか、引き続き注目していきたい。

文/編集部

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