【第91回アカデミー賞】主演女優賞は『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマン
現地時間2月24日(日本時間25日)にハリウッドのドルビー・シアターで開催された第91回アカデミー賞授賞式。主演女優賞は、『女王陛下のお気に入り』(公開中)のオリヴィア・コールマンにもたらされた。驚きの顔でステージに上がり、「おかしな話ね!オスカー像を持っているわ!」と涙声で笑顔を弾けさせた。
本作は、ギリシャの奇才ヨルゴス・ランティモス監督がメガホンを取った宮廷ドラマ。18世紀初頭の英国王室を舞台に、17人の子どもに先立たれた女王のアンと、その寵愛を取り合う2人の女たちの愛憎劇を描く。オリヴィアは病弱で気まぐれだったアン女王の孤独を存在感たっぷりに演じきり、第76回ゴールデン・グローブ賞ミュージカル/コメディ部門、第75回ヴェネチア国際映画祭、第72回英国アカデミー賞など、前哨戦の主演女優賞も総なめにしている。
名前を呼ばれた瞬間、目を丸くしたオリヴィア。隣に座っていた共演者のエマ・ストーンから頬にキスを受け、驚きの表情のままステージに上がった。オリヴィアは初めて手にしたオスカー像を見つめ、「オスカー像を持っているわ!」と話して会場も大爆笑。「エマ、レイチェル(・ワイズ)は、恋に落ちたような二人。一緒に仕事ができてとっても光栄」と共演女優への愛を語り、「グレン(・クローズ)、あなたは本当に憧れの女性。素晴らしい女優」と主演女優賞を競った大物女優に敬意を評した。「子どもたち、家で観てる?観てないならいいわ。でももうこんなこと起きないから、観ているといいわ」とユーモアたっぷりにメッセージを送り、夫に向かって「愛しています。泣きそうよね?私は泣かないわ」と言い放ちながらも、涙声でコメント。温かな人柄あふれるスピーチで大きな拍手を浴びていた。
オリヴィア・コールマンは1974年、英国ノリッチ州生まれの45歳。イギリスのコメディ番組「ピープ・ショー ボクたち妄想族」で人気を集め、『ホット・ファズー 俺たちスーパー・ポリスメン!』(07)や『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(11)に出演。その後、ヨルゴス・ランティモス監督の『ロブスター』(15)に出演したほか、Netflixオリジナルドラマ「ザ・クラウン」ではシーズン3より、エリザベス2世を演じる。イギリスでは幅広い層から愛されているオリヴィアが、本作で世界的に飛躍した。
文/成田 おり枝