鈴木亮平が将来やってみたい役は人気コミックのあの主人公!

インタビュー

鈴木亮平が将来やってみたい役は人気コミックのあの主人公!

ふたたび swing me again』(11月13日公開)が一度は製作が中止されたものの、4年の時を経ていよいよ公開を迎える。本作は78歳になった、かつての名ジャズトランペッターが、昔の約束を果たそうと50年後にバンド仲間を訪ねて歩くロードムービーだ。トランペッターの老人役を財津一郎、その旅に巻き込まれる孫を『シュアリー・サムデイ』(10)の鈴木亮平が好演。映画初主演となる鈴木亮平が、本作への思いと今感じている俳優業についてたっぷり語ってくれた。

――初主演映画が公開ですが、今の心境は?

「主演ってこんなに取材を受けるんだなって思いました。それで、いつも取材の方に違うことを言わないと、って思います。やることは全部やったので、あとはお客さん次第ですよね。変に気負わないようにと思って、僕は僕のことを一生懸命やりましたね」

――以前に製作の話があり、一度止まったのですね。そういうこともあり、いっそう作品への思い入れは強くなりましたか?

「そうですね。4年前に話があって、それが流れた時はショックだったんですが、結果的にこれで良かったのかなって思います。やっぱり、(4年前は)すごく気負ってたと思いますし、映像の経験もゼロだったので、あの時やってたらとんでもないことになってたんじゃないかなと思います。それと、まだ大学生として演技できるっていうバランスが取れてるので良かったかな」

――本作は“約束を果たす男”の物語ですが、鈴木さんから見た“約束を果たす男”とはどのような人ですか?

「僕にとってはイチローですね。格好良いですよね。世界の場でトップを取っているということですごいですね。イチローは日本人としてのアイデンティティーをしっかり持って、かつ自分を常に研究して満足することなく、ずっと1つのことを突き詰めていくところとか、結果を出しているって本当に格好良いです」

――同じ鈴木です。苗字が一緒ですね

「そうですね(笑)。財津さんとは下の名前が同じですしね。僕と合わせると、一緒になるんですよ。だから、イチローって言ったんですよ(笑)」

――仕事で壁にぶつかった時に、イチローの哲学などを参考にしたりするのでしょうか?

「僕、イチローの名言を見たりするのは好きですよ。2000本安打を達成した時に、2001本目のことを考えていました、とか言うんですよ。そこはすごいなあって思います」

――作品の話へ戻りますが、トランペットを吹くシーンについて、演者として何か思い入れはありましたか?

「(トランペットは)じゃじゃ馬なんですよ。本当に難しい楽器でした。正しい音がなかなか出ないんですよ。楽器をする人は、楽器と一体化しているような感じだから、いかに楽器と一緒にいるか、いかに練習して自分の細胞の中に組み込ませるか、みたいな感じですよね。(吹く演技は)自然に見えるように芝居したかったので」

――セッションシーンなどがありますが、一番苦労されたところはどこですか?

「手と(リズムを)合わせることですね。人間、メトロノームでもない限り、(テンポが)早いものは覚えているんですけど、スローなものだと(手と音が)ずれるとバレちゃうんで、僕はメトロノームの音を入れてもらったんですよ。1ブロックごとに入れてもらって、ちょっとここは変えてみたりとか、ここはちょっとためるんだとか。とても大変でしたね」

――アドリブについては?

「芝居も全部即興なので、相手があるから全部セッションなんですよね。だから役者の仕事って全部アドリブなんですよ。いかにセッションできるかが一番必要な能力なんじゃないですかね。相手の出方を見て、合わせていって、思いもよらない方向に行ったりで結果良かったりしますよね」

――大翔という人間性について、監督とどのようなイメージを共有していましたか?

「監督も、嘘をついた芝居が好きじゃない方なんで、自然な感じで演技すれば良いみたいな感じですね。その辺は僕も一緒でした。亮平が(演技)やったらこうっていう感じではなくて、亮平が演じてそれがリアルだったらそれで良しみたいなイメージですね。あと、明るく見せたいっていうのもありました。物語が重い話なので、大翔が明るくないと全部が沈んでしまって暗くなるので、明るくしたいって気持ちがありました。あと、その辺も台本に書かれていました。セリフとか行動とか。なので芝居に対して考え込んだりはしなかったですね」

――ロケ地での思い出はありますか?

「佐川さんとの海のシーンです。すごくきれいな海のシーンで、和歌山の白浜で撮ってるんですけど、9月ぐらいでまだ人がいたんですよね。監督は引きで撮りたかったみたいで、助監督さんが人をはけるのにすごく大変そうでした(笑)」

――そこですか?(笑)

「だって、人がいるのに誰もいなくさせるってとても大変なことなんですよ(笑)。足跡とかも消していて、映画ってすごいなあって思いました」

――主演としてこれから挑戦したい作品はありますか?

「マンガ原作なんですが、もうちょっと歳を重ねてから、『シティーハンター』という漫画の主人公をやってみたいですね。僕、冴羽りょうが大好きなんですよ。これは有言実行の夢ですね」

――そういえば、髪型とか少し意識されているような感じがします

「そうなんですよ。特に意識しているつもりはないんですけど、子供時代に理想の男性として見てたものって残るみたいで、ついつい自分の中で格好良い髪型に近付けていくと完成系がやっぱり冴羽りょうになるんですよね(笑)。是非やってみたい作品です」

――ちなみに、シティーハンターの相手役はどなたに?

「香ですか。それは僕の中で色々とあるんですけど。これは伏せさせてください(笑)」

――今、感じている課題みたいなものは具体的にありますか?

「自然体の芝居をまず磨きたいということと、そしてもう1つ、対極として、コメディーの芝居を今のうちに経験しておきたいですね。やっぱりうまい人はコメディーをやっても面白いじゃないですか。ある意味、体に染み込んでいるというか、舞台でお客さんの生の反応を見て磨いたり、特にシティーハンターという作品は、コメディー部分が大事になっていくものなので、そこで格好良さも決まってくると思うので、技術として磨いていきたいですね」

気さくな人柄で好青年。記者の問いかけにもユーモアを交えつつ丁寧に答えてくれた鈴木亮平。本作ではトランペットを吹くシーンなど、苦労した演技に対する自身の思いがにじみ出ており、こだわりも強くうかがえる良質な作品だ。是非とも劇場で堪能してもらいたい。【MovieWalker】

※冴羽りょうの「りょう」は正式には漢字表記ですが、サイト上では文字化けするので、ひらがな表記としています
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