『アメリア 永遠の翼』主演の ヒラリー・スワンク「『愛している』と言う勇気を与えてくれる作品よ」
女性として初めて大西洋を横断した飛行士、アメリア・イヤハートを描いた『アメリア 永遠の翼』(11月27日公開)。本作でアメリア・イヤハートを演じたのはヒラリー・スワンク。アカデミー主演女優賞に二度も輝いた実力派女優の彼女のインタビューした。
――アメリア・イヤハートを称賛する気持ちについて聞かせてください
「あの時代に、女性はキャリアを持とうなんて思いもしなかった。女性には1921年まで参政権さえなかったのよ。でも今は若い女性たちが『いつか大統領になりたい』という時代なの。アメリアについて私が一番称賛するのは、何であろうと彼女が自分の心や夢に従って突き進んだところだわ」
――アメリアが象徴するものとは何でしょうか?
「本当に女性たちを勇気づけた人だわ。もし落ち着きたいなら、もし家族を持ちたいならそうすれば良い。でももし夢を抱き、それを追いかけたいなら、そうすべきだと彼女は言う。世界を見て、旅をして。それがこの映画で描かれる。彼女自身や彼女の恋愛と同時に、ドキドキするような彼女の夢が描かれる。その夢が彼女にとっては飛ぶことだったの」
――飛ぶことへのアメリアの情熱についてどう思われますか?
「飛ぶことが地上の制約から彼女を自由にしてくれたのだと思う。自分の指先で全世界をつかみ取るような感じだった。彼女は人間を愛し、異文化を愛し、旅を愛していた。飛行はその全てを達成するための方法だったの。でもこれだけはわかってほしいわ。現代は、飛行機が5分ごとに飛び立ち、毎分ごとに世界中から飛行機がやってくる時代よ。でもそれはたった一人で大西洋を横断飛行して、それを成功させた人がいたから実現したことなの」
――アメリアとジーン・ヴィダルとの関係については?
「ジーンと一緒にいると同じ情熱を共有できたのだと思う。ふたりとも飛ぶことを愛し、航空術を向上させたいと望んでいた。ふたりは同じような目で世界を見ていたし、共通点がたくさんあったの。だから大きな情熱が育っていったのだと思うわ」
――リチャード・ギアについて聞かせてください
「リチャードは魂の人だわ。両肩に魂を載せて歩いているような人なの。彼にはジョージ・パットナムが持っていたような古き良き魂がある。本当のジョージはわからないけれど、私はいつもそう感じているの。私にとってはリチャードがジョージ・パットナムだから。永遠にリチャードのファンだわ。プロの女優になる前から彼の作品を見てきた。だから彼との共演は本当に素晴らしい触発される経験なの」
――ミーラー・ナーイル監督について聞かせてください
「ミーラーには、アメリアと同質の精神がある。ミーラーは自然児なの。情熱があって、才能があって、とても強い女性だけど、その強さをひけらかすことはない。自分の仕事で尊敬を勝ち取った人を見るのは素晴らしいわ。映画界で長い経験を積み、明確なビジョンを持ち、協力を惜しまない。しかも男性社会の中でやり遂げている。映画界にはたくさんの人がいて、その何%が女性監督なのかはわからない。でもセットに入り、才能にあふれ、強くあることを恐れない彼女たちは、新鮮な喜びを与えてくれる存在なの」
――エレクトラ号については?
「まさに飛ぶ野獣ね。巨大だわ。アメリアには副操縦士がいなかったから大変な仕事量だった。今の飛行機で飛ぶのとは全然違うわ。誘導装置も馬力も違うし、向かい風や追い風に対する反応も違う。エレクトラを飛ばすのは本当に至難の業だったと思う」
――南アフリカでの撮影について聞かせてください
「ロケ地に行けて本当に良かったわ。おかげでアメリアが愛していたもののエッセンスをつかめたわ。それは旅することだった。それにロケ地はとても美しくて、その景色自体が映画のキャラクターの1つになっていると思う。その景色こそ、彼女が愛し、見たいと望んだものだった。空にいると、世界を感じ取れるのよ」
――観客にどんな印象を持って帰ってほしいですか?
「私がアメリアから触発されたように、観客もそうであってほしいと思う。もし夢があるなら追いかけてほしい。でも追求しながら楽しむことを忘れないで。自分自身や自分の人生観を信じて。それにこの映画は美しいラブストーリーなの。本当の愛を見つけて、人生の中でその愛を抱き続け、その人を見つめながら『愛している』と言う勇気を与えてくれる映画なの」
情熱たっぷりに、時にユーモアを交えながら答えてくれたヒラリー・スワンクはm本作で飛行に人生を捧げたアメリアの挑戦や情熱を丁寧に演じきっている。今の時代のように、女性が自由に活動できなかった時代にアメリア・イヤハートは自身の心や夢に向かって突き進んだ。それが女性初の大西洋横断飛行につながり、現代のアメリカで称賛され続ける象徴的な女性となった。今なお彼女は行方不明となったままだが、アメリアの意志はしっかりと本作で具現化されている。女性が勇気をもらえるラブストーリーに仕上がった本作を、じっくり劇場で鑑賞してもらいたい。【Movie Walker】