鈴木伸之が語る、普通の恋愛映画とは一線を画す逆転の発想
「伝説の王子」の座を巡り、個性豊かなイケメン王子たちが壮絶なバトルを繰り広げる映画『PRINCE OF LEGEND』(現在公開中)。ヒロインである果音をめぐる戦いの中で、片寄涼太演じる朱雀奏の最大の好敵手となるのが“ヤンキー王子兄”こと京極兄弟の兄・京極尊人。演じるのは、役者集団である「劇団EXILE」所属の鈴木伸之だ。ドラマ、映画と作品を重ねるごとに俳優としての注目度があがっている彼に、このプロジェクトだからできた垣根を超えたエンタテインメントの魅力を語ってもらう。
LDHが「HiGH&LOW」シリーズに続いて立ち上げた新プロジェクトである『PRINCE OF LEGEND』。昨年オンエアされたTVシリーズに続き、映画も公開へ。メディアミックス型の一大プロジェクトに当初は驚いたと言う。「“胸キュン is DEAD”っていうコピーがまずすごいなと思いましたね(笑)。胸キュンは死んだと、胸キュンを超えてさらにその先を目指すってなかなかない逆手の発想。普通の恋愛映画とは一線を画しているし、遊び心に溢れていると思う」と、企画そのものを楽しもうと思ったと語ってくれた。
鈴木が演じたのは下町の最強ヤンキー、尊人という役柄。「ぶっきらぼうだけど、本当は優しくて子どもっぽい天真爛漫な性格。何に対してもまっすぐぶつかっていくところは僕とよく似ている(笑)」。本作には、個性豊かな王子たちが登場するが、それぞれの役柄は演じている本人の性格が多分に反映されているそうだ。
「脚本家の松田裕子さんがけっこう当て書きのような感じで、各々の演者の持つ性格をキャラクターに落とし込んでいてくれているんです。だから、すごく演じやすかったというのはありますね」。
また、今回の王子チームの中では、京極兄弟は唯一、兄弟でのチーム編成。それには、「役割として男臭さが僕たちの立ち位置かなと思った」と言う。「いかにも王子様というキラキラした感じじゃなくて、やんちゃだったり、ふざけていたり。それこそ“ヤンキー”ですから男子がつるんでいる仲の良さが魅力の一つになればと思いました。そういう意味では、弟の竜との関係がリアルにみえることが大切かなと思いましたね」。竜を演じた川村壱馬さんとは、実際に、連続ドラマと映画の撮影で3か月間みっちり一緒に時間を過ごした。
「壱馬とはこの作品が初共演。だけど、兄弟でのシーンが多かったし撮影期間中はほとんどずっと一緒にいて。撮影が終わってからも一緒にメシに行こうと誘ってしょっちゅう出かけたりだとか。時間がたくさんあった分、たくさんコミュニケーションがとれた。そのおかげで、僕たちらしい、いい兄弟感をだせたんじゃないかなと思います」。劇中には、2人がアドリブで考えたという兄弟らしいほのぼのとする会話シーンも。「兄弟のなんてことない会話なんですけど、そういうので垣間みえるじゃないですか。お互いの空気感みたいなものが。そこにも、ちょっとキュンとしてもらえたらと思います(笑)」。
「映像で笑ってもらうことってすごく難しい」。改めて、本作を通して感じたことをこう答えた鈴木。『PRINCE OF LEGEND』は一筋縄ではいかない新感覚エンタテインメント。「伝説の王子選手権」では、体を張ったゲームにも果敢に挑戦した。
「あんなに大勢の前でアドリブで愛の告白をするとか、はずかしくてもう二度とできないかも(笑)。選手権のシーンは、ほとんど学校の文化祭のノリ! 真剣ににらめっこをしたり、お姫様抱っこして走ったりすることは今後ないと思います。にらめっこなんて実際に三回戦までしっかりやりましたからね。あれも、もちろん全部アドリブですから。基本、本人たち任せなんですよ。なかなか過酷でした(笑)」。
ふざけたことにも大真面目に取り組んで、どこまでも真剣に楽しむ。「HIROさんが、この映画は全員が全員、自分が主役だと思って演じてほしいとおしゃっていて。本当にその通りだなと思ったんです」と振り返る。「登場シーンが多いとか少ないとか、それはキャラクターによってあると思うんです。でも、それぞれに見せ場やここでしか出せない魅力がある。『PRINCE OF LEGEND』を通して、LDHグループの新しい魅力を発信できたらと思うし、それに参加できたことがうれしいですね」。
主役クラスの個性がずらり並ぶ王子たち。なかでも鈴木のおすすめする注目王子は?と聞くと「町田(啓太)くんが演じた結城先生!」とのこと。「おすすめするというか、めちゃくちゃフックの効いたおもしろい存在ですよね。この映画の中で笑えるシーンがたくさんあるので、注目してぜひみてほしいキャラクターです」。本編にさきがけ、予告編も要チェックだと鈴木は笑う。
「予告編では、王子たちがそれぞれ画面に向かって、それこそ胸キュンな台詞を言っている。それなのに、結城先生だけ違う方向みて“アイム ザ プリンス”とか言っているんですよ! なんだよ、それって、思わずつっこみたくなる。ひとりだけ違う次元にいる感じが個人的にツボでした(笑)」。
取材・文/梅原加奈
「PRINCE OF LEGEND」大特集で、華麗なる王子たちがW表紙を飾っています。