バレエファン必見!桜沢エリカが、“美”にあふれた『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』を語る
「鍛え抜かれたバレエダンサーの身体を見ると、絵心をかきたてられます」
もちろん終盤には、ヌレエフの亡命の瞬間がスリリングに描かれる。「そこも、みんな煙草を吸いながら状況を窺うというか、その瞬間を待ち受ける、地味だけどリアルなシーンになっていましたよね。『愛と哀しみのボレロ』に比べると劇的ではないけれど、あの時代感とリアルさを感じてハラハラしました」。
時代性を感じさせる衣装にも注目してほしい、とコメント。「ついダンサーの衣装に目を奪われがちですが、女性たちの衣装もすごく可愛いんです。『ジャッキー』『イヴ・サンローラン』などを手掛けた衣装デザイナーだから、こだわりがあって。シックなトーンの画の中にちょっとだけ、彩りがある感じもいいんですよね」。
最後に、劇中でヌレエフが美術館を訪れ、そこで目にする“美”にインスピレーションを受ける場面について聞いてみた。「ヌレエフは、彫刻など“人の形”に多大なるインスピレーションを受け、すごくこだわっていたんでしょうね。非常に勉強熱心で向上心があった彼は、絵画や彫刻などという美しいものに、自分も近づきたいと思ったのでしょう。逆に私は、そうして鍛え抜かれたバレエダンサーの美しい身体を見ると、絵心をかきたてられたりしますね」。
自分の肉体に人生のすべてを賭け、自分らしく生きようと闘った人間ドラマとしても、スリリングな命がけの亡命劇としても、そしてレイフ・ファインズ監督3作目としても、なにかと見逃せない一作となっている。
取材・文/折田千鶴子
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