「死霊館」の最新作に抜擢!ホラー映画の名手が認めた新鋭が、長編デビュー作を語る
「ソウ」シリーズや「死霊館」シリーズなどで知られるジェームズ・ワンが製作を務め、全米週末興収ランキングで見事初登場1位を獲得した『ラ・ヨローナ 〜泣く女〜』(公開中)。メガホンをとるマイケル・チャベス監督はCM監督としてキャリアを積み、これが初の長編監督作品。「CMは短距離走みたいなものだけど、長編映画はスタミナと忍耐力が必要で、マラソンみたいな感じだね」と振り返る。
本作は中南米で語り継がれてきた民話を基にしたサバイバル・ホラー。舞台は70年代のロサンゼルス、ソーシャルワーカーのアンナ(リンダ・カデリーニ)と彼女の子どもたちは、あることがきっかけで女の“泣き声”を聞いてしまい、それを境に数々の恐ろしい現象に襲われていく。教会に助けを求めた彼女たちは、水のある所に現れるという悪霊“ヨローナ”の存在を知ることに。
「ヨローナの伝説は何百年も伝えられている古い話で、アメリカでもお泊まり会やキャンプでよく話される怪談の一つなんだ」と、チャベス監督は語る。「ラテンアメリカでは(『ハロウィン』の)ブギーマンのように『良い子にしてないとヨローナが来るよ!』という感じに使われていて、人間の原初的な部分に訴えかけられるパワフルな話。そういうところに惹かれて映画の題材にしようと思ったんだ」と明かす。
そうしたラテンアメリカの独特な文化を他の文化圏の物語として描き出す上で、チャベス監督の助けになったのは、数多のホラー映画を手掛けてきたワンの存在にほかならない。「なんといっても彼は“マスター・オブ・ホラー”だからね!」とワンに対して全幅の信頼を置いているチャベス監督は、「どういう風にしたら良いか悩んでいる時に相談すると、すごく明瞭にアドバイスをくれた」と、主にヨローナの造形についてサポートを受けたという。
2016年に手掛けた短編映画『The Maiden(原題)』がワンの目に留まり、本作の監督に抜擢されたチャベス監督は、もともとワンの作品の大ファンだったそうで「監督をすると決まった時はに本当にうれしくて、ワクワクしていたよ!」と振り返る。「ジェームズと初めて会ったのは、本作の監督に抜擢された時だった。僕の意見に同意してくれたり、お互いに感覚が似ているとわかって良かった」。
そんなチャベス監督は来年のハロウィンシーズンに全米公開が予定されている「死霊館」シリーズの3作目『The Conjuring3』でメガホンをとることが決まっている。「ものすごくワクワクしているんだ!すっごく怖くてエキサイティングで、今まで誰も観たことがないような映画になると思うよ!」。ワンが認めた若き才能が、今後ホラー映画界にどのような新風を巻き起こしてくれるのか。大いに期待したい。
文/久保田 和馬