そもそもメットガラってなに?セレブの奇抜ドレスの元ネタを探る展覧会が開催中!
『プラダを着た悪魔』や『オーシャンズ8』(18)に出てきた“メットガラ”。セレブが着飾ってファンドレイジングするイベントらしい…というのはわかるけれど、本来なんのイベントなのだろうか? ドキュメンタリー映画『メットガラ ドレスをまとった美術館』(16)で詳しく描いているが、METというのはニューヨークのメトロポリタン美術館の略称で、同美術館のコスチューム・インスティチュートが年に一度開くファッション展覧会の開催を祝うパーティのこと。メトロポリタン美術館はこの大々的なパーティを美術館の資金調達に充てており、美術界、芸能界、財政界など各界のセレブたちが集う。もともとは広報担当者が年に一度のパーティをファンドレイジングに充てていたところ、1995年より米VOGUE編集長のアナ・ウィンターがファッションに特化した祭典に仕立て上げた。今では「西のオスカー、東のメットガラ」と言われるように、セレブが最新のドレスを競う場としてすっかり定着している。
今年のコスチューム・インスティチュート展覧会のテーマは、「Camp Notes on Fashion」。過去に行われてきたデザイナーをフィーチャーした展覧会に比べてとても概念的なテーマだが、アメリカの作家、スーザン・ソンタグが1964年に書いたエッセイ「キャンプについてのノート」より引用されている。METによると、Campとは「皮肉、ユーモア、パロディ、模倣、策略、芝居がかっている、誇張」をファッションに表したもの。LGBTQのファッションや、ジョン・ウォーターズの映画はCamp、そして展覧会のメイン・スポンサーであるGucciのアレッサンドロ・ミケーレの作品やメットガラをアナ・ウィンター編集長とともに取り仕切るレディー・ガガもCampな存在と言えるだろう。
淡いピンク色で塗られた展示会場には、色とりどりのドレスや装飾小物が並ぶ。その中でも映画ファンにとって馴染み深いのは、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(00)でカンヌ映画祭パルムドールと主演女優賞を受賞したビョークがアカデミー賞のレッドカーペットで着用していたスワンドレス。これは英国のデザイナー、マラヤン・ペジョスキーのもので、奇抜なドレスに賛否両論が分かれた。ご丁寧にレッドカーペット上で“産卵”までしたビョークはまさにCampなアティテュード。
メットガラには一般人はなかなか参加できないけれど、レディー・ガガの4変化ドレスやケイティ・ペリーのシャンデリア・ドレスなど、レッドカーペットを彩ったセレブのドレスたちのアイデアの元ネタを探るためにも、9月まで行われている展覧会鑑賞は必須だ。
取材・文/平井伊都子