“東京パラリンピック”を映した幻の記録映画が、半世紀以上の時を経てよみがえる!
世界で初めて“パラリンピック”という名称を用いて開催された「1964年東京パラリンピック」の様子を映像に収め、1965年の劇場公開以降ほとんど人の目に触れられることがなかった幻のドキュメンタリー映画『東京パラリンピック 愛と栄光の祭典』が、初めてデジタル化されて50年ぶりに上映されることが決定した。
日本で初めて開催された1964年の東京オリンピックが成功のうちに幕を閉じ、その熱気が冷めやらぬなか11月8日に開幕した「国際身体障がい者スポーツ大会」。「国際ストーク・マンデビル大会」の形式をとったこの大会は、下半身麻痺のため車椅子で生活する競技者を対象にした国際大会で、「東京パラリンピック」という愛称で親しまれ22の国と地域から大勢のパラアスリートたちが出場した。
本作は記録に残る中で、その「東京パラリンピック」の様子を収めた最長の映像であると同時に、参加した選手のインタビューや競技中の音声も収められた貴重なドキュメンタリー作品となっている。監督を務めたのは海外でも高い評価を獲得した衣笠貞之助監督の『白鷺』(58)や、三島由紀夫が監督や主演などを務めた『憂国』(66)など数多くの作品に撮影監督として携わった渡辺公夫。また解説を映画や舞台、テレビドラマなどで活躍した名優、宇野重吉が担当している。
作中では大会開催に合わせて急遽集められた参加者たちが、海外の選手たちとの交流を通じ、競技の経験や社会保障制度の違いを見せつけられながらも、スポーツによって希望を取り戻していく姿が映し出されていく。また、大会名誉総裁であった上皇陛下と上皇后陛下がご臨席された開会式の映像も残されており、両陛下が社会福祉活動に深い関心を抱かれたきっかけとなる場面も。
「東京2020オリンピック・パラリンピック」の開催まで500日を切り、それに向けた機運が高まる中でよみがえる、誰も知らない世界初のパラリンピックの全貌。今もなお発展をつづけるパラスポーツの礎を築きあげた大会を通し、その歴史を知る貴重な機会となることは間違いないだろう。『東京パラリンピック 愛と栄光の祭典』は2019年度に劇場公開を予定している。
製作:上原 明(日芸綜合プロ)/監督・脚本・撮影:渡辺 公夫/解説:宇野重吉/音楽:團 伊玖磨
ドキュメンタリー/上映時間:63分/白黒/モノラル/G