蒼井優、役者の師匠は山崎努!『俳優のノート』がバイブルだった10代を告白
中島京子の同名小説を『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)の中野量太監督が映画化した『長いお別れ』の公開記念舞台挨拶が6月1日にTOHOシネマズ日比谷で開催され、蒼井優、竹内結子、松原智恵子、北村有起哉、蒲田優惟人、中野監督が登壇。父親役を演じた山崎努は急遽欠席となったが、蒼井が「演技というものを習ったことがないまま、この世界に飛び込んだ。『なにか学べるものがないか』と思った時に手にしたのが、山崎さんの書かれた『俳優のノート』という本。10代の最後に一生懸命に線を引きながら、学んできた」と告白。「こうして10年以上の時を経て、やっと大先生と共演できた。自分にとって、ものすごく意味のある作品」と“師匠”との共演に、感激の想いを語った。
本作は、認知症を患った父と、日に日に記憶を失っていく父の様子に戸惑いながらも、向き合うことで自分自身を見つめ直していく家族の姿を描く人間ドラマ。
ステージには、一家の父親・昇平役を演じた山崎から手紙が届いた。手紙には、山崎がもともと原作を読んでいたこと、「映画化されるのでは。とすれば昇平役は、僕に来るのではないかという変な予感があった。しばらくすると準備稿が送られてきた。こんな奇妙な体験は初めて」とオファーが運命的だったことがつづられていた。さらには「いま、“ゆーっとするんだな”のシーンを思い出している」と蒼井演じる次女とのやり取りが印象的だとも書かれており、蒼井はうれしそうな笑顔を見せていた。
また「時代が変わっても、変わらないでいてほしいこと」を聞かれた一同が、映画への熱い想いを吐露するひと幕も。母親役の松原は「私は16歳から映画の世界に入って、でもまだまだ続けていきたい」と未来を見つめ、「いつまでも俳優をやるためには、皆さんに観ていただくことが大切。私たちが活躍できる場所を、皆さんによって得られる。末長くよろしくお願いします」と微笑むと、会場からも大きな拍手。
蒼井も「誠実な映画づくりがなくならないでほしい」と吐露し、「着いていきます!」と松原と一緒に笑顔を弾けさせた。「本当にいい時代に映画の世界に入れていただいた。自分が10代の半ばに初めて映画に触れて。その時の興奮を、次の代の子たちににも味わい続けてもらえたら」と真摯に願っていた。
取材・文/成田 おり枝