毒々しいほどポップな映像美!世界も唸った新感覚の日本映画って?<写真18点>
数々の名作インディペンデント映画を生み出してきたサンダンス国際映画祭で日本映画初の審査員特別賞・オリジナリティ賞を受賞するなど、世界中で話題を集め、数々の著名人が絶賛している『ウィーアーリトルゾンビーズ』(6月14日公開)を知っているだろうか?
本作は、前作『そうして私たちはプールに金魚を、』(17)が、サンダンス映画祭短編部門でグランプリを獲得した長久允監督の初の長編映画。両親を亡くしたのに泣けなかったという、火葬場で出会った13歳の少年少女4人が、クソゲーのような人生をサバイブする中、バンド“LITTLE ZOMBIES”を結成し、失った感情を取り戻していく姿をロール・プレイング・ゲーム(RPG)になぞらえて描いている。
「どのカットを切りだしてもキーカットとなるような画しか撮らないと決めていた」という言葉からも映像に対する並々ならぬこだわりが感じられる長久監督。まるでゲームの中の世界であるかのような、どこか毒々しさを感じるカラフルな色使いに、8bitの映像を時おり差し込むユニークな試みなど、おもちゃ箱をひっくり返したかのようなポップな映像が次々と映し出されていく。
さらに、スタッフを使って先に全編のビデオコンテを作りながらアングルが決められたというカメラワークも特徴的で、登場人物の動きを俯瞰で捉えたザ・RPG風なショットや、棺桶の中からの視点、子どもの目線の高さに合わせたカットなど、主観や客観が次々と変わっていき、バリエーション豊富にその時々の状況や心情などを表現していくのだ。
中でも、劇中で最も印象的なのが、それまでの細かなカット割りから一転し、ワンカットで撮影されている3分間のバンドのシーン。機材もクオリティが保てる映画用カメラではなく“しずる感”を出すためにと、iPhoneがチョイスされており、音楽と出会った彼らの世界が動き出し始める様子が凝縮されている。
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ゲームのようにポップでカラフルで新鮮味にあふれた映像は、観ているだけでワクワク。ひとたび体験すれば、心を掴まれてしまうこと間違いなしだ!
文/トライワークス