前田敦子が“危険すぎる遊具”の壮絶エピソードを語る!「大変なことになりました…」
前田敦子と黒沢清監督が『Seventh Code』(14)と『散歩する侵略者』(17)につづいて3度目のタッグを組んだ日本・ウズベキスタン合作映画『旅のおわり世界のはじまり』の公開記念舞台挨拶が15日、テアトル新宿にて開催。主人公の葉子を演じた前田をはじめ、加瀬亮、染谷将太、柄本時生、黒沢監督、そしてウズベキスタンの国民的俳優アディズ・ラジャボフが登壇し、撮影時の思い出などを語り合った。
本作は舞台で歌うことを夢見るテレビリポーターの主人公が異国の地での様々な出会いを通して成長していく姿を描く、ロードムービー的な魅力に溢れた“目覚め”の物語。幻の怪魚を探すために番組クルーとともにウズベキスタンを訪れた葉子(前田)はある日、街の中で聴こえた微かな歌声に誘われ、美しい装飾の施された劇場へと迷い込む。その扉の先で彼女は、夢と現実が交差する不思議な経験をすることに…。
「素敵な初日が迎えられて本当に嬉しいです」と挨拶した前田は、本作について「私にとって本当に大切な作品」と強い思い入れを明かす。そして劇中で演じた葉子が乗ることになる“危険すぎる遊具”について振り返り「是非みなさんにも乗ってほしいです…」と苦笑い。「私は間違って4回も乗ってしまって、大変なことになりました。一緒に乗ってくれたのは加瀬さんだけで、あとのみなさんは絶対に乗ってくれなかったので」と撮影の裏話を明かす。
黒沢監督はその遊具を選定した経緯について「首都のタシケントの大きな遊園地に色々な遊具があったのですが、ロケハンの時に見つけて『本当に遊具なの?』って思うぐらいの佇まいだった」とその異様さを振り返り「プロデューサーに乗ってもらったら動きだした瞬間にプロデューサーが絶叫したので、これはいけると思いました」とニヤリと微笑む。
一方、カメラマン役として前田と一緒にその遊具に乗った加瀬は「前田さんが最初に乗った時にすごい顔して降りてきたので、大袈裟だなと思ってたんですけど、僕も乗ってみたら1回で充分と感じました(笑)」と本音を吐露。すると“絶対に乗ってくれなかった”と言われた染谷は「乗っちゃうと共感しちゃうからダメだと思った」と語り、柄本は「大変そうなのはわかってたんで、それだけわかればいいかなと(笑)」と口々に告白した。
また、本作の公開に合わせて来日を果たしたアディズは、劇中で他の日本人キャストたちよりも長い日本語のセリフに挑戦するなど、見事な日本語を披露。「映画を観てみたら、一瞬自分は本当は日本人じゃないかって感覚になりましたが、すぐにやっぱり日本語はできないと思い出しました」と笑い、「1か月くらいの撮影で、最後の方は黒沢監督が日本語で話している内容が、通訳さんに訳してもらう前にわかっている感じがしました」。そして「もし1年ご一緒できれば、もっと日本語ができるようになったと思います」と自信満々にコメント。
その後、ウズベキスタン駐日大使のガイラト・ファジーロフが駆けつけ前田と黒沢監督に花束を贈ると、キャストやスタッフに向けて熱い感謝を述べる。それを受けて黒沢監督は「今日並んでいる俳優の皆さん一人一人にお礼を言いたいんですが、本当にアディスさんには感謝しています。彼と出会えたことは最大の幸運だったと思っています。天才的な演技を見せてくれた。こんなすごい俳優がウズベキスタンにいるんだと日本に紹介できただけで価値があると思います」と語り、ウズベキスタンと日本の友好関係が今後さらに発展していくことへの期待感をのぞかせていた。
取材・文/久保田 和馬