「ストレンジャー・シングス 未知の世界」極秘で行われた撮影セットビジットを公開!
「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のシーズン3は、7月4日に全世界で配信が開始され、Netflixの作品の中でも最高の視聴者数を記録したと発表された。Netflixは今まで視聴者数や視聴傾向などを公表してこなかったが、「ストレンジャー・シングス」はNetflixブランドを絶大的なものにした人気コンテンツであり、作品とともにメディアが成長していることを実証している。シーズン3配信開始のタイミングに合わせ、アパレル・ブランドから飲料メーカーまで、各種コラボが行われたのも、「ストレンジャー・シングス」ブームを加速させた。
昨年10月にアトランタで行われたシーズン3のセットビジットは、大型ショッピングモールの「スターコートモール視察」としか知らされず、モールの場所も取材内容も一切秘密。写真撮影やSNSでのシェアは厳禁で、情報解禁日までは取材をおこなったことについても箝口令が敷かれていた。キャストとスタッフに質問を行うにしても、内容について触れないように気を遣い説明するので、聞くほうはちんぷんかんぷん。だが、シーズン3を全話観終えたあとに読み直すと、「なるほど!」と納得のいくコメントばかりだった。
80年代のショッピングモールを完全再現
シーズン3最大の舞台は、“夏休み”。物語としてはダークなシーズン3だが、80年代の衣装と、夏休み中の子どもたちが遊びに行く定番のショッピング・モールのおかげで、見た目にはとても楽しい。セット・デザインを担当したクリス・トゥルヒージョは、「シーズン3の脚本が届いた時は、モールのデザインが最大の仕事だと思っていました。1983年ごろに建てられた廃業寸前の古いモールのフードコートも含めた大部分を購入し、セットを組むことにしました。このモールのセットが、今シーズン最大のハードルだと思っていましたが、やがてSFのシーンにも大きなチャレンジがあることがわかりました。そんななか、さらに移動遊園地という壮大なチャレンジがやってきて…こちらの作業は現在進行中(取材当時)です。全米中のフェスティバル業者と連絡をとり、イメージに合うアトラクションなどを探して、全米各地から取り寄せたりしました」と語る。アトランタの郊外にある古いモールは、外部からはまったくわからないが、中に入ると完全に80年代のアメリカのモールだった。映像から気がついた方もいるかもしれないが、ファッション・ブランド「GAP」のロゴは昔のデザインだし、2006年に破産したレコード店のSam Goodyも残っている。
衣装を担当したエイミー・パリスは、イレブン(ミリー・ボビー・ブラウン)とマックス(セイディー・シンク)のシーンを「マックスとイレブンがGAPで買い物をするシーンがあるのですが、女の子たちが大胆な服に着替えているところなど、典型的な80年代のモールの様子ですよね」と説明する。シーズン2では『ゴーストバスターズ』(84)のハロウィンコスチュームがシーズンのトーンを良く表していたが、今シーズンは『ベスト・キッド』(84)。「マックスがラルフ・マッチオ(『ベスト・キッド』の主人公ダニエル・ラルッソ役)について話しているのを聞いて、ルーカス(ケイレブ・マクラフリン)は、どうしたらダニエルみたいになれるんだろう?と考えます。それを受けたルーカスのファッションは『ベスト・キッド』からインスピレーションを得て、赤いラグランスリーブのシャツに、日本語で“空手キッド”(注:原題は『Karate Kid』)とプリントされています。それに、クラシックなカモフラージュ柄のバンダナとハイソックス。とても楽しいファッションなので、皆さんに気に入ってもらえると思います。ボーイ・ジョージやハルク・ホーガンのマニアのような人たちも出てきます。脇役のメイクアップやヘアスタイルはもちろん、頭のてっぺんからつま先までこだわっていろいろなファッションを披露しているので、注目してほしいですね」。
止められない、子どもたちの成長
メイン・キャストの子どもたちも、シーズンを追うごとに成長している。「ハリー・ポッター」シリーズのように、本人たちの成長込みで物語が進んで行くのも、「ストレンジャー・シングス」の人気の1つだ。フィン・ヴォルフハルト(マイク役)、ノア・シュナップ(ウィル役)、ケイレブ・マクラフリンは、そのあたりを意識して演じていたという。
フィンが「まさにそうだよね。シーズンが進むごとに、僕たちも大きくなっている。時は止められないからね。(監督の)ダファー兄弟も僕たちも、それを意識しているよ」と語った。続いてノアが「今シーズンの読み合わせの時、プロデューサーのショーン・レヴィに、『Oh My God!声がすごい低くなっているよ…。もう少しだけ高い声で話すことってできる?』って頼まれたんだ(笑)」自身の成長ぶりを驚かれたことについて明かすと、ケイレブが「セットの椅子も小さくなってるように感じる。大人サイズの椅子と比べたら、すごく小さくて。みんな、ノアには“ベイビー”でいてほしいんだよね(笑)」とすかさず返した。
シーズン2から参加したセイディー・シンクも、「なんたってノア! ノアの変化がすごいわ。ノアに初めて会った時は、こんなに小柄な子なんだ!って思ったけど、もう私より背が高いんだから(笑)」とジョークにする。イレブンを演じたミリー・ボビー・ブラウンは、「今シーズンでは、イレブンはマックスにいろいろなこと、特に強くなることの大切さを教えるの。マックスにも強い部分はあるけど、兄との関係では問題を抱えている。逆にマックスからイレブンは、自信を持つことの大切さを教えてもらうの。今シーズンで2人は、お互いに新しいことを教えあって成長していくのよ。リアルな生活でも同じで、私たちはお互いに新しいことを教え合っている。ティーンエイジャーってそうやって一緒に成長していくものでしょう?」と隣に座るセイディーに同意を求める。セイディーも「それが今シーズンの魅力でもあると思うの。前シーズンまでは超自然現象的なことに集中していたけど、今シーズンは、もっと“ティーンエイジャーであること”について深く掘り下げている。夏だからこその淡い恋があったりね」と同意見のようだ。
マックス、ウィル、ルーカス、ダスティンの4人組のうち、ダスティンだけはサマーキャンプに参加している。そこでの経験がダスティンをちょっと成長させることになる。ダスティンを演じるゲイテン・マタラッツォは、「人間って、ダークさのなかにあるポジティブなエネルギーに惹かれるものだと思うんだ。たくさんのネガティブさや恐怖、サスペンスに溢れる物語のなかに、1人でもポジティブなエネルギーを放っているキャラクターがいたら、イエーイ!と救われるでしょ(笑)。その役割を僕が担えていたら、うれしいよ」と自身の役どころについて語ってくれた。