吹越満が『冷たい熱帯魚』の園子温監督を「天才監督自体が作品」と称賛!

インタビュー

吹越満が『冷たい熱帯魚』の園子温監督を「天才監督自体が作品」と称賛!

奇才・園子温監督作『冷たい熱帯魚』(1月29日公開)で長編映画初主演を務めた吹越満を直撃インタビュー。俳優の演技力を最大限に引き出す園監督の演出や人となり、初の悪役に挑んだでんでんなどの共演者について語ってもらった。

実際に起こった猟奇殺人事件をモチーフにした『冷たい熱帯魚』。吹越満が扮するのは、小さな熱帯魚店を営む主人公・社本信行役。ある日、同業者の大型熱帯魚店の店主・村田幸雄と出会い、家族ぐるみで付き合うようになるが、実は村田の本性は猟奇殺人鬼だった。途中、物語がとんでもない方向へ加速していき、度肝を抜く衝撃的なクライマックスへと向かう。

園監督作は『愛のむき出し』(08)、『ちゃんと伝える』(09)に続き、3作目の出演作となる本作は、吹越にとって長編映画初主演作となったが、最初に主演と聞いた時は「びっくりしました。もちろん嬉しかったです!」と語る。

園監督の演出は毎回違うという。「今回は始まる前に2週間ぐらい、頭からしっかりリハーサルをやりました。撮影前に本読みをすることはありましたが、ここまでやったのは初めてでした」。撮影は、基本1シーン1カットの撮り方で進んだ。「すべて1カットの撮影を5、6回やるんです。つながりは関係なくて、全部OK。園監督は常々『役者がやるお芝居を撮ることが一番重要だ』って言っています。照明や美術、カメラのアングルも大切だけど、一番見て、撮らないといけないのは役者だと。だから、いつも監督にちゃんと見てもらっていた感じでした」。

その分、役者も作品に対して真剣に挑む。でんでんは今回、初の悪役、しかも筋金入りの猟奇殺人鬼役を怪演した。「待望の悪役ってことで、やりたかった役をやりたいようにわーってやられてるでんでんさんとご一緒できたのは、すごく幸せなタイミングでした」と語る吹越。また、神楽坂恵も、吹越の妻役で体当たり演技を見せた。彼女について吹越は「リハーサルではかなり園監督にきたえられたみたいです。泣きながらやっていたって話も聞いてます」と感心する。

園監督の魅力についてはこう分析した。「園監督という人自体が作品なんです。すごく面倒くさかったり、変だったり、酒癖が悪かったり(笑)。シャイだったりする一方で、こだわりを持ち、ちゃんとしている。何よりも映画が大好きな方なんです」。

最後に吹越は本作をこう力強くアピールした。「天才アーティスト園子温の下、一生懸命みんなで作った手加減なしの猛毒エンターテインメントです。作り物をなめるなよ!ってできばえになっていますので、ご期待ください」。

確かに猛毒&手加減なしという言葉通り、突き抜けた作風が見る者の心を揺さぶる。うかうかしていると猛毒にやられそうになるので、覚悟して臨みたい。【Movie Walker/山崎伸子】

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