美人“空手スター”武田梨奈が、骨折にもめげなかった撮影秘話を語る
19歳で新世紀のアクションスターとして熱い視線を浴びる武田梨奈が、『ハイキック・ガール』(09)に続く主演作『KG カラデガール』(2月5日公開)を放つ。『マッハ!!!!!!!!』(03)のプラッチャヤー・ピンゲーオ監督も注目した、全編ノースタントの空手アクションは、見る者をくぎ付けにする! バンビのような愛くるしい小顔と、勇ましい空手家としての表情とのギャップがたまらない武田にインタビューし、怪我は当たり前の壮絶な撮影秘話を聞いてみた。
待望の主演2作目『KG カラデガール』で彼女が扮するのは、伝説の空手家・紅宗次郎の紅空手を継承するヒロイン・紅彩夏役。彩夏は、亡き父の無念を晴らし、生き別れの妹を救うべく、たったひとりで悪の地下組織に乗り込む。この設定は、武田にとって実はリアルなものだった。なぜなら、彼女が空手を始めたのも、10歳の時、空手大会で敗北した父親を目の当たりにしたことがきっかけだからだ。「お父さんと弟が出場し、ふたりとも負けてしまったのでくやしくて。『私が道場に入る!』って言って、次の日から入りました(笑)」
見事、空手全日本チャンピオンとなった武田は、16歳の時にプロデューサー兼アクション監督の西冬彦に見出され、『ハイキック・ガール』で鮮烈なデビューを果たす。彼女の高速ハイキックは、アクションファンを魅了したが、本作ではさらに激しいド迫力アクションを披露している。
中でも難しかったのが、人の上に乗って飛ぶアクションだったという。「前作では地面で蹴ったりパンチをしたりする基本的なアクションだったけど、今回は見た人が驚き、真似できないんじゃないかと思えるものをやりたくて挑戦しました。1年半の準備期間を経て、師匠やスタントマンとの信頼関係があったからこそできたアクションですね」
とはいえ、高度なアクションをマスターすることは容易ではなかった。「人の上に乗るアクションは、練習しても全然できなくて。悔しくてトイレへ行き、こっそり泣いては戻って来ました。すごく負けず嫌いなんです」と笑顔で語る。特に苦労したのは、見せ場となるイギリスの格闘家リチャード・ウィリアム・ヘセルトンと戦うシーンだ。「本物の格闘家なので、力がすごく強くて。一回蹴りがみぞおちに入った時は、息ができなくなってしまいました。でも、あの方とやったからこそ、良いシーンが撮れたんだなと思います」
練習中、生傷が絶えないのは当たり前だが、ある時は腕を骨折したという。「1ヶ月くらい練習を休みました。動かないとなまっちゃうと思い、焦って何回も稽古を見にいきました。個人的には別に怪我をしようが何しようが平気なんですが、お仕事が滞ってしまうので、責任を感じましたね。それに怖いのは自分が怪我することよりも、相手の方に怪我をさせてしまうこと。一度本番で、相手の方が目を怪我されて救急車で運ばれたことがあり、その時は恐怖心を覚えました」
空手の一番の面白さを尋ねると、「達成感です。肉体的にも精神的にも鍛えられるし」と答える。目指すのは、唯一無比の“空手スター”だ。「他の女優さんには真似できないことをやりたいです」と言う。憧れのスターはジャッキー・チェン。「昔はただ単に格好良いと思っていただけでしたが、アクションを始めてからはさらに尊敬するようになりました」。共演してみたい俳優は武田鉄矢だ。「役者を目指すきっかけが『金八先生』の武田さんだったんです。上戸彩さんじゃないの?ってよく突っ込まれます(笑)。もちろん上戸さんも好きですが、武田さんには是非お会いしたいです」と語る。
「今後は、役の幅が広げられるのなら何でもやりたい。いろんな役を経験していきたい」と言う武田梨奈。志の高い新世紀の空手スターが、世界に羽ばたいてくれることを心から願う。【Movie Walker/山崎伸子】