星野源も苦戦?…費用は15億円以上!?江戸時代の“お引っ越し”が過酷で面倒すぎる!
江戸時代に行われていた、幕府が大名の領地を移し替える“国替え”。いわゆる藩全体での“お引っ越し”であるこの政策によって、引き起こされていく騒動を描いた『引っ越し大名!』が、いよいよ本日8月30日(金)より公開となった。
『超高速!参勤交代』シリーズ、『殿、利息でござる!』(16)など、コンスタントに製作され、高い人気を誇る歴史ものの映画たち。そんな時代劇と言えば、当時の風習などを知ることができるのも魅力の一つだろう。本作『引っ越し大名!』でも、映画を楽しみながら江戸時代の過酷な引っ越し事情に触れることができる。
『超高速!参勤交代』シリーズの土橋章宏による時代小説「引っ越し大名三千里」を原作とした本作は、江戸時代前期に幕府から度重なる国替えを命じられた実在の大名、松平直矩のエピソードがモチーフ。幕府から豊後国日田藩(現在の大分県)への国替えを命じられるも、責任者である“引っ越し奉行”が(これまでの激務が原因で)亡くなっていたため、窮地に陥ってしまう姫路藩(兵庫県)藩主・松平直矩。今回の責任者を誰にするのか家臣たちが頭を悩ませる中、読書ばかりしているのだから知識があるだろうという理由で、書庫番の片桐春之介(星野源)に白羽の矢が立つ。大役を任された春之介は“引っ越し奉行”として、国替えを成功させようと悪戦苦闘していくことに…。
参勤交代同様に、国替えは大名の力が大きくなることを防ぐために幕府がとった政策。単身赴任的な意味合いの参勤交代と比べても、家族や家具など藩は丸ごと引っ越さないといけず、はるかに労力と費用がかかるもので、大規模なものとなると移動人数は1万人、費用は2万両(現在の価値でいう15億円)にも上ることもあったのだそう。
劇中では、藩の財政が厳しいため、まずそのお金をなんとか工面するところからスタート。お金を貸してくれそうな商人の情報をリストアップし直接交渉。さらに経費を減らすため、藩や武士たち各家庭の持ち運ぶ家財を要不要を仕分けるなど、面倒な作業をひたすら行なっていくのだ。
またお金の問題と同時に、城を受け渡す次の藩主に向けて城内外の見取り図や土地の石高などの正確な情報を把握し、それを記した書類を作成するという事務的な作業も発生。映画では減俸を伴うため、春之介は武士たちのリストラもしなければならず、準備だけで肉体的にも精神的にもキツすぎる凄まじい量の仕事があるのだ。さらに、準備が終わっても実際に、はるか数百キロという移動をしなければならない現実が待ち受けており、この移動中に襲われるなんてことも…。
自分の家規模でも果てしなく面倒に感じてしまう引っ越しだが、途方もないほどのお金や人員が動く、一大事業だった江戸時代のお引っ越しは、その面倒くささが桁違い!その規模の大きさと気の遠くなるような作業には、度肝を抜かれることだろう。
文/トライワークス