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今年も映画界をかき回す!?Netflixの話題作がヴェネチア国際映画祭で続々デビュー

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今年も映画界をかき回す!?Netflixの話題作がヴェネチア国際映画祭で続々デビュー


スティーブン・ソダーバーグ監督の『ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-』(10月18日配信)は、メリル・ストリープとゲイリー・オールドマン、アントニオ・バンデラスが共演するブラックコメディ。2016年に発覚したパナマ文書は、タックス・ヘイブン(租税回避地)であるパナマの法律事務所から流出した機密書類で、そこに含まれていた資産隠しの可能性を示唆する情報が明るみに出て、世界の政治経済を震撼させた。悪徳弁護士ユルゲン(ゲイリー・オールドマン)&ラモン・モサック(アントニオ・バンデラス)を追求するのが、平凡な事務員エレン(メリル・ストリープ)だ。

本作は2016年に発覚したパナマ文書にまつわるブラック・コメディ
本作は2016年に発覚したパナマ文書にまつわるブラック・コメディ

脚本はソダーバーグ作品の常連で、今年は監督として『The Report(原題)』の公開も控えているスコット・Z・バーンズ。昨年公開となった『バイス』(18)のような政治ブラックコメディで、アカデミー会員のウケが良さそうな作品だ。「バーンズの脚本は、およそ同じ映画で共演するとは思えないメンツを奇妙なアンサンブルに仕立てた」と概ね好評だが、「ノレないとブラック・コメディのため、ソダーバーグとバーンズだけが先走ってしまうことになる」との評もある。

アカデミー賞俳優の豪華共演作に期待せずにはいられない
アカデミー賞俳優の豪華共演作に期待せずにはいられない

ティモシー・シャラメ、ジョエル・エドガートン、リリー=ローズ・デップが共演する『キング』(11月1日配信)は、ウィリアム・シェイクスピアの史劇「ヘンリー5世」を翻案し、王位継承を余儀なくされた青年ハル(ティモシー・シャラメ)の葛藤を描く。交際を噂されるリリー=ローズ・デップとの共演でも話題となっている本作を映画祭の大きなスクリーンで鑑賞した批評家は、「15世紀を舞台とした時代劇のカメラワーク、セットデザイン、衣装どれをとってもほかの映画作品と遜色のない出来で、家庭の小さな画面で観るのがもったいなく思える」と意見を表している。これは配信作品に常について回る問題で、『ROMA/ローマ』も銀幕で観るのとホームテレビで観るのとでは、受ける印象が大きく異なった。

ウィリアム・シェイクスピアの史劇「ヘンリー5世」を翻案した『キング』
ウィリアム・シェイクスピアの史劇「ヘンリー5世」を翻案した『キング』

ヴェネチア国際映画祭の下馬評だけを見ると、今年の賞レースに絡んでくるのは『マリッジ・ストーリー』のみか。Netflixはヴェネチア、トロント以降も、マーティン・スコセッシ監督の『アイリッシュマン』(11月27日配信)、アリシア・ヴィキャンデル、小林直己主演『アースクエイク・バード』(11月15日配信)、フェルナンド・メイレレス監督の『2人のローマ教皇』(12月27日配信)と話題作の北米劇場公開を控えている。2020年の第92回アカデミー賞に向け、Netflixの疾走はどこまで続くのだろうか?

文/平井伊都子

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