ハン・ソロ役を断った?『ワンハリ』のモデルにもなった名優の生き様が悲哀たっぷり…!

コラム

ハン・ソロ役を断った?『ワンハリ』のモデルにもなった名優の生き様が悲哀たっぷり…!

1969年のハリウッドを舞台にした『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(公開中)。本作でレオナルド・ディカプリオが演じる落ちぶれた元人気俳優リック・ダルトンは、昨年82歳で亡くなった名優バート・レイノルズをモデルにしていると言われている。リック同様に浮き沈みの多い俳優人生を過ごし、『ワンハリ』への出演もオファーされていたレイノルズ。そんな彼の遺作『ラスト・ムービースター』が公開中。レイノルズ自身が主人公のモデルになったという本作への理解を深めるため、いま一度彼のキャリアを振り返っておきたい。

【写真を見る】『ワンハリ』のモデルにもなった往年の名優バート・レイノルズ
【写真を見る】『ワンハリ』のモデルにもなった往年の名優バート・レイノルズ[c]2018 DOG YEARS PRODUCTIONS, LLC

大学のフットボール選手として活躍したレイノルズだが、ケガを理由に演劇へ転向。59年にテレビで俳優業をスタートし、62年には西部劇ドラマ最長ロングランを記録した「ガンスモーク」にレギュラー出演している。また、当時売り出し中だったクリント・イーストウッドらと同じくイタリアへ渡り、『さすらいのガンマン』(66)といったマカロニウエスタンで主演を務めるなど、着実にキャリアを重ねていく。

そんなレイノルズが世界的人気を博したのが70年代。『脱出』(72)や『トランザム7000』(77)といったアクション映画の主演を務め、たくましい肉体と口ひげが特徴の「タフガイ」としての存在感もあり、コスモポリタン誌でヌードも披露するなど、セックスシンボルとしての地位も確立していく。また、この頃にジェームズ・ボンドとハン・ソロ役をオファーされていたが、それを断ったことも有名な話。

VFXにより、『脱出』『トランザム7000』のレイノルズと老いたレイノルズが共演を果たす?
VFXにより、『脱出』『トランザム7000』のレイノルズと老いたレイノルズが共演を果たす?[c]2018 DOG YEARS PRODUCTIONS, LLC

その後80年代後半から人気が低迷し、プライベートでも離婚、自己破産と不幸続き。出演作も多くが酷評されるなど不遇の時を過ごす。しかし、ポール・トーマス・アンダーソン監督作『ブギーナイツ』(97)でポルノ監督を演じると、これが高い評価を獲得。アカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞を獲得するなど、一瞬の輝きを放った。

名優バート・レイノルズの遺作『ラスト・ムービースター』が公開中
名優バート・レイノルズの遺作『ラスト・ムービースター』が公開中[c]2018 DOG YEARS PRODUCTIONS, LLC

『ラスト・ムービースター』もそんな彼の人生を下敷きとした作品。レイノルズが演じるのは、かつて一世を風靡した映画界のスーパースター、ヴィック・エドワーズ。ある日、彼の元にとある映画祭から功労賞受賞の知らせと招待状が届く。一度は招待を無視しようとするが、歴代受賞者の名にロバート・デ・ニーロやイーストウッドらがいることが判明。エドワードは渋々参加するが、実際は名もない映画祭でその扱いに憤慨してしまう。しかし、映画祭は彼が生まれ育った街の近くで行われており、思い出の地を巡っていくうちに自身の人生を振り返り始め、ある行動を起こすという物語だ。

バート・レイノルズの人生をそのまま振り返ったのような『ラスト・ムービースター』
バート・レイノルズの人生をそのまま振り返ったのような『ラスト・ムービースター』[c]2018 DOG YEARS PRODUCTIONS, LLC

落ちぶれたスターの悲哀、作品選びの誤り、スタントのし過ぎでボロボロとなった肉体など、セルフパロディ的な役どころを愛嬌たっぷりに演じてみせるレイノルズ。極めつけは、VFX技術により『脱出』や『トランザム7000』の若かりし自分自身との共演も果たしており、まさにレイノルズが人生を振り返っているような作品となっている。彼の最後の輝きをぜひスクリーンで目に焼き付けてほしい!

文/トライワークス

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