『天気の子』トロント国際映画祭でも大盛況!「晴れ女とは?」と海外ならではの質問も
『君の名は。』(16)から3年ぶりとなる新海誠監督最新作『天気の子』が、第44回トロント国際映画祭の「スペシャル・プレゼンテーション部門」に出品され、現地時間の9月8日に行われた公式上映に新海誠監督が出席した。
『天気の子』は、公開されるやいなや、圧倒的な映像美と心震わす音楽が紡ぎ出す“新海ワールド”が話題となり、『君の名は。』同様に2回、3回と劇場に詰めかけるリピーターが続出。公開から34日間で興行収入100億円を突破し、歴代邦画興行収入ランキングトップ10入りを果たすなど、『君の名は。』に続き日本映画を代表する1本となった。その勢いはいまだ衰えず、現在は興行収入120億円を突破している。
例年300本以上の作品が上映され、ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭に次ぐ規模の来場者数32万人を集めるトロント国際映画祭。日本映画でトロント国際映画祭にアニメーション作品が選出されるのはジブリ作品以来となり、直近の出品作品は宮崎駿監督の『風立ちぬ』(13)。今年は『天気の子』のほか、是枝裕和監督の『真実』が日本映画で同部門作品に出品された。
トロント国際映画祭に初参加となる新海監督は、「路面電車が走っていて、きれいな街。北陸や、広島、熊本など、日本で見てきた地方都市と重なって、のどかで素敵な街だと思いました」とコメント。また、上映を前にして「海外の方がどのように受け止めてくださるのかとても興味深いです」と期待を膨らませていた。
プレミア上映会場は、例年トロント国際映画祭の主要会場となる「スコシアバンク・シアタートロント」。上映チケットは即日完売で、当日券にも長蛇の列ができ、100人以上が入手できずに諦める状況という、現地での期待値の高さが伺えた。20~30代を中心に幅広い層の、熱狂的な新海誠ファン、アニメーション映画ファンが劇場を埋め尽くし、場内満席の大盛況のなか、上映前の舞台挨拶に登壇した新海監督は、大喝采と歓迎の拍手で迎えられ、流暢な英語で挨拶。「カナダに来るのは初めてなのですが、僕の作品を観たことある方いますか?」と観客へ逆質問。そして「トロント国際映画祭に出品が決まった時は驚きました。『天気の子』は5年10年と残るものというよりは、2019年のこの夏に、日本の若者に見てほしいと意識して作った作品です。この数年間、天気や気候といったものが変わってきていると実感しており、そのいま起こりつつある変化を、いまみんなに見てもらえる映画として作りました。どのように感じてくださるのか楽しみにしています」と語った。
上映中は、随所に笑いと感嘆の声があがり、クライマックスではすすり泣く声も。本編上映後は、拍手と大歓声が上がった。劇場内が『天気の子』の余韻に浸りながら、上映後のティーチイン舞台挨拶に監督が登壇。「晴れ女とは?」と海外ならでは質問も飛び出し、「日本ではよく言うのですが、カナダではないのですか?天気の子という映画では、日本に住んでいる自分たちの足元を深く掘ることをしたいと思いました」などと監督自身も観客からの質問を楽しんでいる様子で、終始大盛り上がりで舞台挨拶を終えた。
『天気の子』は現在、140の国と地域での配給が決定し、米アカデミー賞の日本代表にも選出され、異例のインド公開も10月11日に控えている。日本を越えて盛り上がりをみせる『天気の子』旋風は、今後も世界を席巻していきそうだ。
文/編集部