“三池節”に会場が熱狂!『初恋』がトロント国際映画祭でプレミア上映
三池崇史監督、窪田正孝主演の映画『初恋』が2020年2月より公開となる。今年5月のカンヌ国際映画祭において監督週間に選出され、三池監督の最新作を待ちわびていた映画ファンを大いに沸かせた本作。世界中のファンから期待が高まるなか、第44回トロント国際映画祭では現地時間9月13日にミッドナイト・マッドネス部門でプレミア上映が実施され、上映後には舞台挨拶とQ&Aを行い、三池節で会場を沸かせながら現地のファンとの交流を楽しんだ。
チケットはほぼ完売し、1時間前にもかかわらず会場には500人もの観客が長蛇の列をなした。三池監督の乗った車が会場入り口に到着すると、多くのファンがサインを求めて駆け寄る。雨が降り始めたレッドカーペットでは、「雨のなか、たくさんのお客さんが来てくれて嬉しいです。どこの国にも変わった人がいるもんだなと思います(笑)。このミッドナイト・マッドネス部門は、トロント映画祭のなかでも“いかに楽しむか”、好きなジャンルの映画を自分のスタイルで楽しむお客さんが集まっている。『初恋』も応援してくれると信じている」とコメント。
トロント国際映画祭について、「初めて海外の映画祭に参加したのが、このトロント国際映画祭のミッドナイト・マッドネス部門だった。オリジナルビデオ(Vシネマ)を撮っていて、あるプロデューサーの“これ面白いからプリント(劇場公開用のフィルム)にしようよ”という言葉から始まり、全く予想外の展開で1997年に『極道戦国志 不動』でこの映画祭に呼んでいただいた。そこで一緒にお客さんと観て、映画というのは作品が勝手に海外に飛んでいって受け入れられるものなんだと知った。それがその後の作品を作っていくモチベーションにつながっている」と明かし、「ここ(トロント国際映画祭)は自分にとって大事な場所です!」と特別な想いを語った。
興奮した三池ファンが歓声を上げるなど、大熱狂の空気に包まれた場内。上映が始まると、興奮を隠しきれない観客たちからは、冒頭の東映マークから早くも大きな拍手が巻き起こった。本編が始まると一点静まり返ったものの、さすがミッドナイト・マッドネス部門。三池監督らしさ溢れるシーンでは大きな笑い声と拍手が巻き起こり、まるで“応援上映”のような熱狂ぶり。まさに映画愛を肌で感じられる上映となった。
上映後、三池監督のほか、中村雅(脚本)、坂美佐子(プロデューサー)、紀伊宗之(プロデューサー)がQ&Aに登壇。多くの作品を撮り続けるモチベーションについて尋ねられると、「例えば映画の撮影中に昼休憩があって、そこでお弁当を食べていると“この時間でCMが1本撮れるな”と思うようなことがある。撮影が大好きなので、自分がいつまで映画を撮っていられるかを考えていると、特に自分を奮い立たせなくても動ける。映画を撮影していると眠っている自分が覚醒する感じ。一番楽しいんです。あと、これは内緒話だけど、実は3つ子の兄弟が入れ代わりながら動いている。今日は次男が来ているんです(笑)」と会場の笑いを誘いながら、一つ一つ丁寧に答えていった。なかには日本語で質問する観客もいるなど、三池ファンの熱量の高さが伺えた。
イベント終了後、三池監督は「お客さんに逆に映画を盛り上げてもらった。少しは期待に応えることができたんじゃないかなと思っています。想像以上に盛り上がってくれて、個々のお客さんには感謝しています」とコメント。「疑ってしまうほど良いリアクションをしてくれた。映画祭のお客さんは理解しようとしてくれるような、優しい人たちなんですよ」と手応えを感じた様子で、会場をあとにした。しかし深夜2時過ぎにもかかわらず、外には大勢の三池ファンが殺到。写真やサインなどファンサービスに追われるも、観客に受け入れられた喜びを実感する一夜となった。
今回は、世界で“最も熱狂的な映画ファンが集まる”と言われるトロント国際映画祭のミッドナイト・マッドネス部門で大いに盛り上がりを見せたが、ほかにも多数の国際映画祭出品や参加、海外からの上映オファーも殺到している本作は、9月27日から異例の全米の先行公開を控え、より一層期待が高まっている。
文/編集部